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  7. Vol.24-村上敏明 3

CiaOpera!

声のいちばんの敵は「ナーバス」。ストレスフリーに、普通に過ごす。

カンツォーネでいうと、「オ・ソーレ・ミーオ」なんて、それこそ銀座ライオン時代から歌っていて、これまでで1000回ぐらい歌っているんじゃないかな(笑)。

—1000回ですか!すごい!

テノール歌手って、カンツォーネをすごく求められるんですよね。だから、歌いこなれているはずなんだけど、今回はあえてちゃんと楽譜を見直しました。

—楽譜を見直して、勉強しなおすという話は冒頭でも伺いましたが、村上さんのようにすでにご活躍のかたでも、“勉強しなおす”ことをするのだなぁ、と印象に残りました。

こういうきっかけがないと、見つめ直すとか正面から向き合うって作業はできないので、そういう意味でたまにこんな機会があってもいいのかな、と思いましたね。あとはリサイタルですね。

村上敏明

—今回も、7月31日(火)に、アルバムの発売記念リサイタルを控えていますね。CDの内容を全曲歌われるのですか?

なるべく全曲歌いたいと思っていますが、後半のオペラアリア連続はどうでしょうね(笑)。一応「全曲ではありません」とお断り書きもさせていただいているのですが、でもそういうわけにもいかないだろうなぁ(笑)。

—アンサンブルの編成もCDと一緒ですか?

はい、一緒です。あまり立て続けに歌ってしまうと、どうしてもクオリティーを落としてしまったりするので、ところどころに栗原さんのピアノソロを挟みながらになると思います。マンドリンもナポリ情緒をものすごく味わえますし、ヴァイオリンは、CDのアレンジと違うかもしれない。「あれ、こんな曲だったっけ?」と(笑)。

—それも楽しみですね(笑)。それにしても、そうやってCDやリサイタルの準備に加え、その他のオペラ公演やコンサートなど、本当に多方面でご活躍されている印象があるのですが、声や体のコンディションはどうやって保たれているのですか?

僕は、ここ何年か大きな風邪を引かなくなったんですよ。ひとつは、5,6年前からヤクルトを毎日飲んでいるからかなと思います。本当に、飲まない日はない。地方へ歌いに行くときも3本くらいはかならず持って行ったり、「ヤクルトレディ歩いてないかな」と探したりします(笑)。でも本当に、風邪引かなくなりましたね。

—村上さんがそうおっしゃるのでは、やはり関係しているのかもしれませんね。

あとは何かしているかな…でも、基本的には普通に過ごすようにしています。最大の敵は、ナーバスになることだと思うんです。「本番前は喋らない」「お酒は飲まない」「○○を食べる」または「食べない」などなど、いろいろあるじゃないですか。でも、それをするとかしないとか考えて陥る、ナーバスがいちばんの敵。ナーバスにならないようには気をつけています。かといって、もちろん物理的に調子にのって居酒屋で大きな声でしゃべりすぎちゃうと、喉がダメになるので、本番前は行かないようにはしていますけど(笑)。

村上敏明

2014年 藤原歌劇団公演「ラ ボエーム」ロドルフォ役

—そのあたりの細かいコントロールはされつつ(笑)。でも、普通に過ごす、がキーワードですね。

はい。あと、関係あるかないかわからないのですが、去年背筋力を測ったんです。そしたら、背筋力がものすごくあることがわかりまして。245kgあったんです。たぶん20代の若い男性の平均が145kgぐらいで、このあいだゴリゴリに鍛えている人に聞いたところ、ボディビルダーぐらい本気で鍛えていると240kgぐらいで、245kgというのはほぼプロレスラー並みだと思ってくださいといわれました。だから多分、背筋で歌っているんだなと。よく腹筋で歌うとか、肺活量がどう、とかいわれますが、歌うために3,500ml吸ってから歌う人もいないですし肺活量は関係ないかも(笑)。それから、昔ロッシーニ歌いのハイ・テノールが同級生にいて、イタリアに留学に来たんですね。そのとき僕のほうが先にイタリアに来ていて、言葉も僕のほうがしゃべれるってことで、ボローニャ郊外に住んでいるウィリアム・マッテウッツィさんという名テノール歌手のもとへレッスンの通訳兼見学で一緒に行ったときのことなんですが。同級生は、高い音のハイEs(2オクターブ上のミ♭)まで出る奴で、『アルジェのイタリア女』というオペラのテノールアリアの、最後のハイEsを、マッテウッツィさんとふたりでご自宅の大きな鏡に向かって本気でガンガン出し合うっていうすごい光景が繰り広げられて(笑)。マッテウッツィさんはその頃すでにオペラ界は引退されて、宗教曲を主に歌われていたのですが、「まだまだ出るんだ!」という衝撃もあって。で、そのとき、ここぞ一発というときの高い音は、お尻の筋肉を締めるということを言っていましたね。僕も少し背伸びする癖があるんですけど、背筋とか臀筋とかを使って歌っているんですね。だからといってジムに行って鍛えているわけでもないんですが。僕ら歌い手は、硬い筋肉は使わず、柔らかい筋肉を使うので、いちばん多いのは自転車に乗る人でしょうかね。スポーツサイクルみたいな本格的なのに乗って、結構な長距離を移動するかたが多いです。呼吸も整うし、筋肉も鍛えられるし。

—なるほど。特に何か特別なことを意識しているというよりは、気付いたら筋肉を使って歌われていて、それで体調なども保たれているのですね。

そうかもしれませんね。ちなみに、僕は電動自転車です(笑)。

—いいと思います(笑)!

新企画<聞いてみタイム>♪アーティストからアーティストへ質問リレー

—さて、本日も佐藤亜希子さんから村上敏明さんへ質問をお預かりしています。

もしも男ではなく女で生まれたら、どんな仕事を選んで、どんな人生にしたいですか?

村上敏明

想像したことないなぁ!意外な質問ですね。でも、今のところ歌手以外の選択肢はあまりないなぁ。実をいうと、オペラ歌手になりたいという意識があまり強くないうちに、気付いたらオペラ歌手になっていたので…ただ、歌をちゃんと始める前から、マリオ・デル・モナコには憧れていました。なぜかというと、生まれる前から聴かされていたから。両親が音楽の先生だったのですが、父親がマリオ・デル・モナコ狂いの人で、家ではずっとマリオ・デル・モナコの歌しか流れてなかったんですよ。だから僕の頭のなかの音楽的な部分は、マリオ・デル・モナコと忌野清志郎で出来ています。忌野清志郎が好きすぎて、僕は彼と同じ日野高校へ行きました!(笑)。

—それほどお好きだったのですね!じゃあ、もう今のところは生まれ変わっても歌手ですね。

歌手…なのかなぁ。でもメッゾ・ソプラノというのもあんまり想像できないですよね、今テノールで高いパートだから。やっぱりソプラノ歌手なんだろうなぁ。あ、わかった!イタリア人になって、ソプラノ歌手になるんだ。日本人だとなんだかリアルだし、うまくいかない可能性もありますからね(笑)。でもイタリア人ソプラノ歌手になったら、ゴリゴリのイタリア人男性歌手とラブシーンとかするんだよね、悩むなぁ(笑)。

—それは悩ましいですね(笑)。ひとまずは仮に、イタリア人のソプラノ歌手になる、かもしれない、というところですね!ありがとうございました。

取材・まとめ 眞木茜

PROFILE:村上敏明 Toshiaki MURAKAMI

村上敏明

2016年 藤原歌劇団公演
「愛の妙薬」ネモリーノ役

国立音楽大学卒業。日本オペラ振興会オペラ歌手育成部第17期生修了。2001年から2年間、文化庁派遣芸術家在外研修員として渡伊。04年から五島記念文化財団奨学生として再渡伊、07年に帰国。第13回フランチェスコ・アルバネーゼ国際声楽コンクール優勝。第9回マダム・バタフライ世界コンクールグランプリ優勝をはじめ、15のコンクールで優勝・上位入賞を果たし、国内でも第40回日伊声楽コンコルソ第1位、第35回イタリア声楽コンコルソ・シエナ大賞など多数受賞。中島基晴、中村卓郎、P.ヴェントゥーリの各氏に師事。
留学中、02年オルヴィエートのマンチネッリ劇場公演「リゴレット」のマントヴァ公爵でイタリアデビュー後、「蝶々夫人」「イル・トロヴァトーレ」「ナブッコ」「トスカ」等の主役にイタリア各地で出演。 藤原歌劇団には、05年「ラ・トラヴィアータ」のアルフレードに抜擢されプリモデビュー。以後「蝶々夫人」「ラ・ボエーム」「ルチア」「仮面舞踏会」「トスカ」と当団のプリモテノールとして活躍を続けている。その他、日本オペラ協会、新国立劇場、びわ湖ホール等各地のオペラやコンサートに出演し、好評を得ている。
第15回五島記念文化賞オペラ新人賞受賞。
藤原歌劇団団員。東京都出身。

今後のスケジュール

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