1. トップ
  2. >
  3. 公演情報・チケット
  4. >
  5. CiaOpera!
  6. >
  7. Vol.25-伊藤 晴 3

CiaOpera!

新しい経験や、人と人の心の触れ合いが、自分を成長させてくれた。

−『ラ・トラヴィアータ』という大きな舞台へ向けて、少しずつご準備も進められているかと思いますが、そのかたわら合唱指導などの活動もされていらっしゃいますね。今年7月1日に福岡県の北九州芸術劇場で上演された『合唱物語 わたしの青い鳥』という作品は、毎年携わっていらっしゃるとお聞きしました。

そうなんです。この作品に関わって、今年でもう4年目になります。毎年同じぐらいの時期に、毎週北九州市へ行ってみなさんと舞台をつくっています。元々は藤原歌劇団のソプラノ大森智子さんが11年間指導されていたものを、私が引き継いで、合唱指導と「光の精」という役でソプラノ・ソロを務めているのですが、そこで得たものもすごく大きくて。自分が、ワークショップを何時間も担当して指導するっていうことがまず新鮮で、最初はできるのかどうか事務所の方々にもすごく心配されたぐらいです(笑)。物語は、メーテルリンクの『青い鳥』が原作の、劇場のために書かれた作品で、毎年「自分たちそれぞれの幸せを探しに行く旅に出よう」というテーマがあり、客席にも「あなたにとって、ふと感じる幸せはなんですか?」とインタビューをしたりもして、いつも会場全体が一体となります。コーラスの方々も、毎年北九州市民の方を募集して、小さなお子さまからお年を召した方まで、本当に幅広い年代の方が参加されるんです。そうすると、純粋に「人生を輝かせたい!」という思いで参加されている方も多く、いつものオペラの現場とはまた違う、人と人との心の触れ合いを感じられる気がします。「私にとっての小さな幸せってなんだろう?」と、考えるきっかけにもなりますし、人間的にもとても成長させていただけている気がするのです。

伊藤 晴

合唱物語「わたしの青い鳥2017」企画・製作:北九州芸術劇場

−なるほど。この活動に参加することで、伊藤さんご自身も成長を感じることができるのですね。

そうですね。また、この公演に伴って、アウトリーチ公演(劇場ではなく地域の学校や福祉施設などで行う公演)を上演するのですが、それも私にとって初めての経験で。普段、オペラやコンサートに触れる機会がなかなか取れない方々に、その魅力を伝えるということを経験して、今活かされていると思う部分はあります。

−そうなのですか。アウトリーチ公演で、実際音楽に触れた、皆様の反応はどうですか?

「普段こういう音楽はなかなか聴かないけれど、とてもいいですね」と言って、涙を流される方もいらっしゃいます。感想がその場ですぐ聞けるということが、すごくありがたいですね。音楽をやっている意義というものを、直接感じられる経験だと思います。

−得るものの多いご経験なのですね。ところで、そのようにお忙しい活動のなか、オフタイムはどのように過ごされているのですか?

結構地方へ行ったりすると、自分で調べてひとりでいろいろなところへ足を延ばすのが好きなんです。おいしいお店とか、観光名所とか。

−すごく行動的ですね!お仕事の合間をぬってお休みされることが多いのですか?

いえいえ、休むときはしっかり休みます。けれどそうですね、たとえば「今日はすごく歌ったなー!」「よく動いたなー!」と思う日は、ひとつ小さなごほうびを自分に与えるということは大事にします。フレッシュジュースを飲むとか、有名なケーキ屋さんのケーキを食べるとか、化粧品を買うとか、豪華な駅弁を選ぶとか(笑)。そうすると、リセットされて元気が出ます。

−まさに、ふとした小さな幸せに通ずるところがありますね。

はい、そうかもしれませんね。いつも、ちょっと幸せな自分でいられるようにしたいなと思っています。

新企画<聞いてみタイム>♪アーティストからアーティストへ質問リレー

—さて、今回の質問リレーは、前回お話しをうかがった村上敏明さんから伊藤晴さんへです。

伊藤さんにとって、歌手人生を変えた運命の人は誰ですか?

伊藤 晴

えー!運命の人!でも確かに、毎回自分のターニングポイントには、そう呼べる方が現れるかもしれません。本当にたくさんの人との出会いで生かされているなぁと思いますが、敢えて挙げるとすれば…。私は歌を本格的にやろうと思ったのがすごく遅くて、大学時代も音大ではなかったですし、日本オペラ振興会の育成部に入ったあと、いつも何かしら“限界”っていうものを感じるのですよね。なにか課題点を克服したいと思うのだけど、「もう、どうしたらいいのか分からない!」という状態になってしまい。そういうとき、道を示してくださる方が現れるのです。まず現れたのが、ある指揮者の方なんですね。知り合いのピアニストの方が、「あなたは音楽的な部分ができていないから、そういうことをちゃんと教えてもらえる人のところへ勉強しに行ったほうがいいよ」と言ってくださり、その指揮者の方のところへ連れて行ってくださったんです。そこで、恥ずかしながら楽譜の読み方というのを改めて、というより初めて、というぐらいにちゃんと知って。「あ、楽譜ってこんなに立体的に読めるんだ!」ということをそのとき発見して、どんどんイメージも膨らんでくるし、それは自分にとって衝撃でした。そこからどんどん歌うこととか、オペラをやることがすごく楽しくなっていったのです。そうしたら今度は、自分の表現したいことに技術が追いつかないと感じて悩み始めて。それでまた、どうしたらいいか分からない、と思っていたら、フランスの先生に出会って。そこで徹底的に、発声のことも磨きをかけるべく、激しいレッスンをしていただいたんですね。音楽的なこと、発声のこと、どちらも悩んだとき、導いてくださる方と出会えたと思います。

伊藤 晴

2014年藤原歌劇団公演「ラ・ボエーム」ムゼッタ役

−素晴らしいことですね。お話、ありがとうございました!

取材・まとめ 眞木茜

PROFILE:伊藤 晴 Hare Ito

伊藤 晴

2017年藤原歌劇団公演
「カルメン」ミカエラ役

三重県出身。三重大学卒業、武蔵野音楽大学大学院修了。ミラノ、パリで研鑽を積み、2013年パリ地方音楽院修了。第9回藤沢オペラコンクール第2位。
沼尻竜典&トウキョウ・モーツァルトプレーヤーズ「フィガロの結婚」スザンナ、みなとみらいホールオペラシリーズのプーランク「声」、Hi’s Opera Company「みすゞ」(世界初演)金子みすゞ、丹波明「白峯」(世界初演)待賢門院を始め多くのオペラに出演する他、コンヴィチュニーオペラ演出アカデミーinびわ湖「ラ・ボエーム」にムゼッタで参加。藤原歌劇団には14年「ラ・ボエーム」のムゼッタでデビューを果たし、17年「カルメン」ミカエラで好評を博す。日本オペラ協会には16年「天守物語」の亀姫でデビューし、18年2月には「夕鶴」のつうで相応しい声と表現で魅了した。来年1月には藤原歌劇団「ラ・トラヴィアータ」ヴィオレッタ役に出演が決まっており、今最も活躍が注目されているソプラノ。
その他、15年山形交響楽団「ヘンゼルとグレーテル」グレーテル、小澤征爾音楽塾オペラプロジェクトXIII子どものためのオペラ「子供と魔法」安楽椅子/こうもり、16年藤沢市民オペラ「セミラーミデ」(演奏会形式)アゼーマ、18年バッティストーニ指揮/東京フィルハーモニー交響楽団「カルミナ・ブラーナ」や、「第九」「メサイア」、モーツァルト「レクイエム」等各種コンサートでも活躍している。名古屋音楽大学講師。藤原歌劇団団員。日本オペラ協会会員。

今後のスケジュール

ページ上部