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  7. Vol.31-清水良一 2

CiaOpera!

歌い手ひとりひとりに委ねられる日本らしい音楽表現、それは「静けさ」。

—義経と直接関わるシーンはないということですが、他の人物はいかがですか?

やっぱり一番関わるのは政子、そして景時、広元、義盛でしょうね。政子役の東城弥恵さん、今回初めてご一緒するのですが、大変豪快で素敵な方です(笑)。

—そうなのですね(笑)今回共演するみなさんは、初めての方とご存知の方とがいらっしゃるのですね。

よく知っている方も結構いらっしゃいますよ。静の沢崎恵美さんも、義経の中鉢聡さんも。磯の禅師役の上田由紀子さんとも以前オペラでご一緒しましたし、梶原景時役の角田和弘さんは藤原歌劇団と日本オペラ協会の団会委員長だし、和田義盛役の納谷善郎さんは学校の先輩で、弁慶役の豊嶋祐壹さんは後輩なんですよ。

清水良一

2018年 日本オペラ協会公演「夕鶴」運ず役 手前は中鉢聡

—先輩も後輩もいらっしゃるのですか!それは、気心知れたみなさんですね。

はい。それに僕が初めて日本オペラに出演したとき、一緒にダブルキャストをやったのが、今回大江広元役の中村靖さんです。『美女と野獣』っていうオペラでね。面白かったですよ。あの作品は面白かったから、また再演されないかなぁなんて思っているんですが、なかなか実現しませんね(笑)

−この『静と義経』も、実に25年ぶりの再演ですね。また、日本オペラ協会60周年の記念公演でもあります。

そうですね。この節目の年にぴったりの、華やかな舞台になると思います。

−演出の馬場さんとはすでにご一緒されたことはありますか?

馬場さんとは、僕がちょうどイタリアへ留学した時期に、同じ町にいたのですよ。

—そうだったのですね!偶然ですか?

偶然です!そこで仲良くなりましたね。馬場さんは僕よりもずっとよくイタリアに行かれていたのですけれど、その時期は本当にたまたまでしたね。フィレンツェで、歌い手の留学先としては珍しいです。

−珍しいのですね。町としてはメジャーなだけに、意外です。後ほど、またお話をお聞かせください。さて、『静と義経』では、あとマエストロの田中祐子さんですね。田中さんとのお仕事はいかがですか?

田中さんとご一緒するのはこれで3回目になります。1回目にお会いしたときは、池辺晋一郎さん作曲の日本オペラ『高野聖』に副指揮者として入っておられました。このときこの演目は初演ということもあり、みんなどのように演奏したらいいかを探りながら進んでいて。もちろん作曲家の先生がよく稽古場にもいらしてくださったので、細かい点を確認することもできたのですが、やっぱり普段の練習ではわからない部分も多くて、そんなとき田中さんがすごくよくまとめてくださいました。音楽の相談がすごく出来るのでそこでみんなととても良い関係が築かれたと思います。

—マエストロと音楽の相談できることは、大きいのですね。

大きいですね。特に初めてやるものの場合は。今回も、まだまだ発展途上で模索中なのでね。

—音楽づくりといえば、前回沢崎さんにお話を伺ったとき、楽譜に「三木マーク」というものが書かれていて、そこに三木先生の想いが特に詰まった独特の表現が求められるというお話をされていました。三木先生の作品にはどれにもあるのでしょうか?

あぁ、「三木マーク」ですね!どうかな、以前の『春琴抄』にはあったかな。それについて僕が思うのは、日本音楽っていうものは「静けさ」がすごく大事。

—「静けさ」ですか。「間」みたいなもののことでしょうか?

「間」もそうです。それは、日本の住宅環境が結構影響しているのではないかと、イタリアに行ったときから思っているのです。イタリアの家は石造りで、その環境で音楽をつくる。一方、日本の家は木造で、残響が少ない。そういう環境で音楽をつくりあげるとなると、どうしても音の芯の部分を大事にするようになる気がするのですね。逆に、西洋の石造りの環境で生まれたのは、響きを大事にする音楽だと感じます。最初にお話した尺八のような和楽器にしても、「ひゅうっ」というような、曲のアクセントとなる節回しを大事にしている。しかもそれがひとつひとつ、すごく短い。そういう、ある種の「静けさ」のなかにスッと割って入ってくるようなものを「粋だ」と感じるのが日本音楽らしさだという気がするのです。逆に、スッと入るそのフレーズが際立つためには、「静けさ」が必要。その日本音楽らしさのためにあるのが、「三木マーク」だと思うのですよ。

清水良一

—なるほど!すごく腑に落ちました。

感覚、分かりましたか?テンポどおりじゃないというか、「無」の瞬間が生まれてそこにスッと入る面白さというか。そんなところを楽しむ音楽だと思います。

—それは、イタリアオペラなど西洋作品とは違う、日本オペラだからこそ味わえる楽しみですね。歌い手にとっても、表現のしがいがありそうですね。

そうですね、人によってその表現が違ってくると思うので、すごく面白いと思いますよ。ただ、テンポどおりではないぶん、歌い手に解釈が委ねられる部分もあるので、こちらのセンスを問われるというか(笑)。間の取りかたひとつで、ずいぶん受け取る側の印象も変わってくるでしょうし、怖い部分でもありますけれどね。

清水良一

2017年 日本オペラ協会公演「よさこい節」純信役

—せめぎあいですね(笑)。歌い手のみなさんそれぞれが表現する、日本音楽ならではの「静けさ」、『静と義経』でもぜひ堪能したいと思います。

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