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  7. Vol.32-迫田美帆 3

CiaOpera!

会社員として働きながら、切り開いたオペラ歌手への道。

—ところで迫田さんは、オペラ歌手になるまでに少し面白い経歴を辿っていらしたとお聞きしました。

はい。東京芸術大学の声楽科を出たのですが、当時私はとても優秀とはいえない学生で(笑)。大学院にも行けず、「どうしようかな」と。留学も考えたのですが、あまりにも自分がやっていける自信がなくて、だったら就職をして歌の勉強をするベースを築き上げようと思って。お金を貯めながら、ときどき1、2週間、あるいは1ヶ月、ちょこちょこイタリアに勉強に行ったりしていました。

—普通の企業でお仕事をされていたのですね!どんなお仕事をされていたのですか?

会社役員の方々の秘書をしていました。私がついた上司は教養も深く、音楽にも関心の高い方が多くて。「イタリアに勉強に行きたいのでお休みさせてください」というと、「いいよ、いってらっしゃい!」と言ってくださったのです。今回の『蝶々夫人』にも、当時の上司が何名か来てくださいます。

—『蝶々夫人』での主演デビュー、喜ばれるでしょうね!それにしても、ご理解のある職場の方々に恵まれ、勉強を続けていらしたのですね。そしていよいよオペラへの道を踏み出したきっかけは、何かあったのですか?

社会人になって3年目ぐらいのときに、サントリーホールの「オペラ・アカデミー」を見つけたのです。さっそく試験を受けて、入ることになり、そこでジュゼッペ・サッバティーニという師と出会いました。私には先生の指導がとても合っていたといいますか、アカデミーで学んでいた4年間で、自分でもびっくりするぐらい歌えるようになったと成長を感じ、少しずつコンクールでも認めていただけるようになったりして、「歌っていけるかも」と思い始めたのです。ちょうどその時期結婚をしたこともきっかけで、会社を辞めてオペラの道へ進み始めました。

—常にご自身で考えて、積極的に切り開いてこられたのですね!アカデミーで出会った先生は、イタリアに勉強にいらしたときの先生とはまた別の方なのですね?

はい。私はイタリアのパドヴァに通っていたのですが、それはマーラ・ザンピエーリというすごく好きなソプラノの先生のところでして。大学4年生の頃に、ザンピエーリ先生の『マクベス夫人』(ヴェルディ作曲)にハマって、毎日のように聴いていたのです(笑)。あるとき先生のホームページを見たら、「レッスンしたい方はこちらへ連絡してください」というようなことが書かれていたので、「毎日CDを聴いています。レッスンしてください。」と片言のイタリア語でメールを送ったところ、「声を聞かせにいらっしゃい」と返事をくださって。それで、年に何回か先生のところに通うことになったのです。今もときどき、イタリアに行くとパドヴァに寄って声を聞いていただいています。

迫田美帆

イタリア・パドヴァにて

—今も、よくイタリアに行かれるのですか?

はい。サッバティーニ先生が、毎年夏にローマでマスタークラスを開いているのでそこに行ったり、コンクールを受けに行ったりしています。

—やはり精力的に活動されていますね。ということは、迫田さんはオフのときも音楽が側にあるのですね。

そうですね、時間があるときは、他のオペラを聴きに行ったり、違う楽器のコンサートを聴きに行ったりしますね。

—違う楽器もお聴きになるのですか。何か歌のヒントを得ることはありますか?

いろんな楽器の人に聞いても、最終的には皆さん、「歌うように弾きたい」とおっしゃるのですよね。だから、楽器にも歌と共通する部分ってあるのだなと感じます。レガートのつけ方とか、ビブラートのつけ方とか。そういうひとつひとつのことがヒントになります。

—「歌うように弾きたい」、印象的な言葉ですね!楽器も、楽器の曲も、人がつくったものですから、どこかに人の言葉を感じさせる部分があるのかもしれないですね。

そうですね。かたや、私は実際に歌っているので、「あれ、もっと頑張らなきゃいけないかな?」と思いますけれどね(笑)。

—迫田さんの歌は、もうすでに出来ていらっしゃると思います(笑)。それにしても、学びでもプライベートでも、ご自身でどんどん向かっていかれる姿、尊敬します。お話ありがとうございました。

迫田美帆

新企画<聞いてみタイム>♪アーティストからアーティストへ質問リレー

アーティストからアーティストへ質問リレー。清水良一さんから、迫田美帆さんへ。

—今回の聞いてみタイムは、前回お話をうかがった清水良一さんから、迫田美帆さんへの質問です。

15歳で結婚した蝶々さん。迫田さんが15歳のころは何をしていましたか。どんな学生生活でしたか。その頃の夢や夢中になっていたことがあったら教えてください。

私が15歳の頃は、陸上競技に打ち込んでいました。当時の種目は走り幅跳びで、夢は大きく、オリンピック選手でした(笑)。朝一番で学校へ行って朝練をし、午前中の授業の合間に早弁をして昼休みに昼練、放課後は遅くまで部活に参加していました。夏休みなどの長期休暇も、ほぼ毎日部活や合宿に参加していたため、友達と遊んだ記憶はほとんどありません。そして、この時鍛えられた体幹や肺活量、忍耐力が、歌手になった今大いに役立っています。

迫田美帆

—なんと、陸上に打ち込まれていたのですね!こちらも意外な素顔です。それもすべて、今このご活躍につながっていますね。貴重なお話、ありがとうございました!

取材・まとめ 眞木茜

PROFILE:迫田 美帆/Miho SAKODA

迫田美帆
東京藝術大学卒業。卒業後、ローマやパドヴァなどイタリア各地で研鑽を積む。2015年、サントリーホール オペラ・アカデミー プリマヴェーラ・コース第2期を最優秀の成績で修了。2017年、同アドバンスト・コース第2期修了。第50回日伊声楽コンコルソ入選。第13回東京音楽コンクール声楽部門第2位。第86回日本音楽コンクール声楽部門入選。故・中畑和子、直野資、M.ザンピエーリ、G.サッバティーニの各氏に師事。昭和音楽大学の文化庁委託事業「平成28年度 次世代の文化を創造する新進芸術家育成事業」にて新進歌手オーディションに合格し、世界的ソプラノ歌手M.デヴィーアの指導を仰ぐ。さらに公開オーディションの優秀者として披露演奏会に出演。 これまでに、「ドン・ジョヴァンニ」ドンナ・エルヴィーラ、「愛の妙薬」アディーナ、「リゴレット」ジルダ、「イル・トロヴァトーレ」レオノーラなどで出演。また、本年2月にはサントリーホール オペラ・アカデミー公演「フィガロの結婚」のアルマヴィーヴァ伯爵夫人で出演し、好評を博した。いずれも磨かれたテクニックと深い解釈に裏づけされた、安定したのびやかな歌唱が高く評価されている。藤原歌劇団団員。東京都出身。

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