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  7. Vol.34-小堀勇介・中井奈穂 2

CiaOpera!

ネモリーノは人との出会いを新鮮に。アディーナはイタリア的な魅力を放つ。

—いくつか、役のキャラクターに関するキーワードもいただきましたが、おふたりご自身のなかで具体的に「こう役作りをしていこう」というイメージなどはお持ちですか?

小堀 ネモリーノに関していえば、このオペラで描かれている1日って、彼にとって「奇跡」みたいな話で。まず、ベルコーレの率いる連隊がネモリーノの村に駐屯しにくる。そこで、ベルコーレがアディーナに求婚する。自分の意中の人であるアディーナが他の人と結婚されては困る、どうしようと思っていたところへ、たまたま薬売りのドゥルカマーラがやってくる。「惚れ薬はあるか?」と聞くと、「ある」という。そんな風に物語が展開していくのですが、このなかで「(ネモリーノの)人との出会い」というものを、常に新鮮に感じていたいと僕は考えています。ネモリーノには、「この人はひとりだったら何も出来ないのでは?」という、ちょっと赤ちゃんみたいなところも感じます(笑)。自分では、ひとつひとつの場面で何もすることが出来ないけれど、そこでまったく打算なく、誰かを頼る。でも、「アディーナのことが大好きだ」という一本の軸が彼をつき動かしているのですね。なので、三浦克次さんのドゥルカマーラや、大石洋史さんのベルコーレなど、共演者のみなさんとどういう風に絡み化学反応が起きていくかということを、舞台上でリアルに表現できたらいいですね。

小堀勇介・中井奈穂氏

—人との出会いの新鮮さ、を意識されるのですね。

小堀  はい。直感力といいますか。「この人に言えばなんとかしてくれる」という、ある意味では機転が利くけれど、それは『フィガロの結婚』のスザンナのような頭の良さとも違うのですよね。

—中井さんのアディーナですが、先ほどのお話をお聞きしていて、「ごく自然なアディーナ」のようなものを研究しようとなさっているように感じました。たとえば「イタリア人がどう作るのだろう」と観察されていたあたりなど。

中井 そうですね。アディーナって、日本にいる女の子じゃないなと感じます。すごく頭の回転も速いですし、自信もありますし、自分が欲しいものを手にいれるためにどうすればいいかをすぐ計算できるのですよね。でもそれがあざとくない。「これが好き」と分かったら、そこへ向かってパッと行動できるのです。ただ、ネモリーノのことに関しては、自分が本当は彼のことが好きだったとか、そもそも恋や愛というものを知らなくて、気付くまでに時間がかかりますけれど。この作品のなかで、人間として「成長」とか「変化」があるのってアディーナだけかなと思うのです。だから、そこを楽譜に書いてあることを表現することに加え、情熱を持ってやっていきたいですね。

小堀勇介・中井奈穂氏

小堀 アディーナの変化、ありますよね。ネモリーノはやりたいことが一貫していて、ひとつのことのために最後まで駆け抜けるけれど。

中井 そうですね。その、ずっと変わらず「好き!好き!」と言ってくれているところや、物事をまっすぐに見ているネモリーノのことが、アディーナは大好きなんですよね。

小堀 ネモリーノは、アディーナのことを「ひどい人だ」と思うことはあるのだけど、絶対に彼女に対して直接的に傷つけるようなことは言わないのです。“天然のやさしさ”がありますね。妙薬を手にして、「明日になったら彼女は僕のことを好きになってくれる」と信じて疑わず、その瞬間は少しアディーナに対しても強く出るのですが、冒頭にお話ししたようにアディーナがベルコーレと今日中に結婚する、という話になると哀願する。でもその理由が「今日結婚してしまったら、明日君は後悔する。君に苦しみがふりかかってしまう!だから今日だけはやめてくれ!」というのです。自分の恋が実らないということより、アディーナが苦しむことを心配するあたりも、ネモリーノが自覚してない器の大きさですよね。僕が今の年齢まで生きてきて表現しようとすると、つい自発的な器の大きさアピールになってしまいそうなのですが(笑)、そこをいかに制限しながら表現するかが課題かなと思います。

—そうなのですね。中井さん、稽古をされていて小堀さんのこの取り組みは感じますか?

中井 削ぎ落とそうとしている感じは、とても伝わります。ネモリーノのこの純粋さの表現、難しいですよね。アディーナはアディーナで、常に優位に立っていないとイヤなタイプだし。でも、そのあたりはイタリア人の女の子たちが上手な気がする。

小堀 それはそうかもしれない。やっぱり“マンマ”の文化なのでしょうね!ヨーロッパの女性って、若い子でもちょっと年上らしく振舞おうとするところがあると思うのです。

中井 そうかもしれません。「かわいい」「きれい」の基準も違いますし。生き抜いていく上で人間としての強さを持っている人こそが、女性として魅力的なのです。だから男の人が、マンマに全部任せてしまう。

小堀 そうですよね。お母さんにもそうですし、お母さんに似ている人を奥さんに選ぶことも多いのです。

—そうなのですね!まさにイタリアの魅力的な女の子であるアディーナ、中井さんの表現が楽しみです。

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