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  7. Vol.36-伊藤貴之 3

CiaOpera!

東京でも、名古屋でも魅せたい。年を重ねて得た表現力での『リゴレット』

—ところで、伊藤さんは来年2020年2月にヴェルディのオペラ『リゴレット』にも出演されますね。

そうなのです。「スパラフチーレ」という殺し屋の役で、どちらかというと暗めでドスの効いた声が必要とされたり、ロングトーンのすごく低い音が出てきたり、ロッシーニの軽さとは少し違う側面を持っています。“少し”といったのは、自分の持ち味である軽めの声を全部取ってしまうのも違う、と思うからですが。

—そういった、少し違う方向性の役を歌い分けるとき、どのようにバランスをとっているのですか?

本当に、われながらどうやっていくのだろうと思いますね(笑)。ただ、僕が普段から心がけているのは、バスだけど常にテノールのように明るく歌うことです。僕は今40代ですけど、これが50代、60代になったら声も変わってくるだろうし、「今できる素直な声を出そう」と日々思っています。わざと暗くしたり、重くしたりはしません。

—大切な心がけだと思います。このスパラフチーレの役は、初役ですか?

いえ、この役は過去に1回だけやったことがあります。でもそれは30歳ぐらいの頃だったと記憶しているので、その時とは全然違う歌になると思います。もちろん歌の技術的にも違うでしょうし、やっぱり感情の入れ方もレベルアップできるはずだと思います。彼は殺し屋ですけれど、仕事に誇りを持っている人物なのです、「絶対に成し遂げる」と。けれど、仕事に誇りや自信を持っているはずの彼が、最後の最後、妹に「暗殺を依頼されたマントヴァ公を殺さないでくれ」とお願いされると、しぶしぶ承諾してジルダを殺してしまう。そこだけなのですよね、自分がプライドを持っていた仕事を曲げたというのは。殺し屋も、妹をとったのです。

—なるほど、家族を大切にする一面を持っているのですね。

そう、情に厚いのです。殺し屋だから冷淡なイメージを持たれがちですが、実は仕事にも熱く、家族にも情に厚い。人間的なものを持っているのです。

—それは、観客にとってスパラフチーレの意外な一面かもしれませんね。そういった役づくりについても、もう模索されているのですね。

はい。まぁ1回目に勉強した部分もあるので、年数を経た2回目ではより歌で表現しやすくなるのではないかと思います。やっぱり1回目より2回目、2回目より3回目と、より上を目指して、長く歌っていきたいですからね。

—なるほど。では来年の『リゴレット』やその先のご活躍も、期待しています。ところで話は変わりますが、伊藤さん、普段は愛知県にお住まいなのですね?

そうなのです、普段は愛知県ですが、3年ぐらい前から東京での仕事も増えてきまして、東京にも家を借りて、愛知と東京と半々ずつぐらいの割合で滞在しています。最近は、東京でのお仕事が多いかもしれません。

—そうなのですか!愛知県のどちらなのですか?

今住んでいるのは豊田市です。出身はもっと田舎のほうですけど。

—そうなのですね。愛知のご自宅では、オフの日はどのように過ごされるのですか?

うーん、強いていえば子供と遊ぶことでしょうか。子供がまだ7歳と4歳で小さいので、言い寄ってきてくれますし(笑)。一緒にバーベキューとかキャンプとかのアウトドアに行きます。自分が田舎育ちなので、自然のなかにいると落ち着きますし、子供にもその楽しさを教えたい思いはあります。一緒に魚釣りしたりもしますよ。

—それは、お子様も楽しいでしょうね!ちなみに私などは、愛知県というと単純に味噌カツや味噌煮込みうどんを思い浮かべてしまいますが、実際に食べているのでしょうか?

あー、そうですよね。そういう味噌カツにも使われていて、愛知の人がよく食べているイメージの「赤味噌」ってあるでしょう?あれは、昔でいう三河の国の岡崎市というところで生まれて、のちに岡崎出身の徳川家康が江戸へ持っていったといわれているんです。でも今では、赤味噌というと名古屋のイメージですし、名古屋の人は実際味噌汁といえば赤味噌の人が多いみたいですが、三河の人はあまり飲まないのです。普通の味噌ですよ(笑)。ちなみに名古屋は昔の尾張。三河人と尾張人では、微妙に意識が違うと思います。ただ、人から「名古屋のご飯はおいしい」と言われると、やっぱり嬉しいですけどね。それに、来年の『リゴレット』も名古屋公演がありますし。こうなると、地元でやる、という意識になります。

—確かに、『リゴレット』は東京公演の他に、愛知県の名古屋公演がありますね!やはりご自身の出身県での上演は嬉しいですか?

嬉しいですね。お客様にとっても、とても喜んでもらえることのようで、「藤原歌劇団が来る!」と言っていただけます。僕もやっぱり地元の家族や友人・知人に来ていただきやすいですし、大学も名古屋だったので、先生たちに見ていただけるのも嬉しいことです。

伊藤氏

—そうなのですね。年を追うごとにさらなる飛躍を遂げる伊藤さんのお姿、楽しみにしていらっしゃることでしょう。貴重なお話、ありがとうございました。

新企画<聞いてみタイム>♪アーティストからアーティストへ質問リレー

アーティストからアーティストへ質問リレー。久保田真澄さんから、伊藤貴之さんへ。

—『ランスへの旅』の同じ組でドン・プロフォンド役の久保田真澄さんから、伊藤貴之さんへのご質問です。さて、普段一緒に稽古をされていながら、久保田さんが実は聞いてみたいと思っていた質問は何でしょうか?

〜これまでも色々な現場でご一緒してきましたね。今まで演じてきた役柄で1番印象に残っているもの、大切にしているものは何ですか?それは何故ですか?またこれから演じてみたい役柄は何ですか?教えてください。よろしくお願いします。〜

今までで1番印象深い役ですか。それは、やっぱり『ランスへの旅』のシドニー卿です。理由は、それまでロッシーニ作品を知らなかった自分を、こんなにハマるほど好きにさせてくれた役だからです。やる前は、こんな難しい役本当に歌えるのかと思っていましたが、歌ってみると、「ロッシーニってこんなに楽しいんだ!」と気付き、夢中にさせられました。

質問コーナー

—シドニー卿、本当にお好きな、そして印象深い役なのですね。「これから演じてみたい役」についてはいかがですか?

これから歌ってみたい役は、ヴェルディ作品の主役級バス役です。先ほどお話したような、少し声に求められる方向性が違うという理由もあって、ここ数年ヴェルディ作品は控えていましたが、最近になって「これからは歌いたいなぁ」と思うようになりました。

—ヴェルディへの想いも芽生えてきたのですね。

はい。「ドン・カルロ」のフィリッポ2世や『アッティラ』なども魅力的です。来年、『ナブッコ』のザッカリア役を歌う機会があるので、とても楽しみです。

—ロッシーニだけでなくヴェルディも、これからの伊藤さんのご活躍から目が離せませんね。ありがとうございました。

取材・まとめ 眞木茜

PROFILE:伊藤 貴之/Takayuki ITO

伊藤 貴之

藤原歌劇団
「ラ チェネレントラ」
 アリドーロ役

名古屋芸術大学卒業、同大学大学院修了。第41回イタリア声楽コンコルソ金賞受賞。新国立劇場、日生劇場、藤原歌劇団ほかで「ドン・ジョヴァンニ」「フィガロの結婚」「ナブッコ」「リゴレット」「清教徒」「トスカ」「エフゲニー・オネーギン」「トゥーランドット」「アイーダ」「仮面舞踏会」「ラ・ボエーム」「ファルスタッフ」「ランスへの旅」「カルメン」「ノルマ」「ルチア」「サロメ」「魔笛」など多数のオペラに出演。「第九」「メサイア」、ヴェルディ、モーツァルト、フォーレの「レクイエム」等コンサートのソリストとしても多く活躍。今後は新国立劇場「カルメン」「ウェルテル」、びわ湖ホール/マーラー「千人の交響曲」などに出演予定。平成24年度愛知県芸術文化選奨文化新人賞受賞。藤原歌劇団団員。愛知県出身。

今後のスケジュール

  • 三木「第九」

    三木文化会館

  • 名曲全集第152回「第九」

    ミューザ川崎シンフォニーホール

  • 藤原歌劇団公演「リゴレット」 スパラフチーレ役

    東京文化会館

  • 藤原歌劇団公演「リゴレット」 スパラフチーレ役

    愛知県芸術劇場

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