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  7. Vol.38-長島由佳・丹呉由利子 3

CiaOpera!

みんな完成形は知らないけれど、みんな同じ方向を向いてつくっている。

—共演者のみなさんは、お仕事をご一緒されたことのある方が多いですか?

丹呉  はい。狭い世界なので、どこかで共演したり、お会いしたりしている方が多いですね。たとえば、私たちふたり、長島由佳さんとはとても仲良くさせていただいてます!

長島  そうですね、密かにユニットを組んだりしていて…(笑)

—そうなのですか!すごく仲良しでいらっしゃるのですね!

丹呉  はい!あと、阿古夜×紅天女の小林沙羅さんとは、実は別の現場で一緒にお仕事をしているときに、偶然2人とも紅天女のオーディションを受けていて、オーディションのお話もしていました。同い年ですし、とても素敵な女性なのでまたご一緒できるのが楽しみです。あとは、今回日本オペラといっても日本オペラ協会の会員の方だけでなく、門戸を広く開いて団体やジャンルの垣根を越えたキャストの方も揃っているので、みなさんとどんな舞台をつくっていけるかも楽しみですね。

長島 私、本プロダクションのなかで一番長くお付き合させていただいているのは、中村靖先生ですね。研修生の頃には講師をされていてお世話になりましたし、先生がオーナーをされている旅館で歌わせていただいたこともありますし。だから、先生でもあり、最近はこのように共演することも多く、どこか精神的に頼りにさせていただいている存在です。

丹呉  夫・楠木正儀役の岡昭宏君と、同年代同士で夫婦役をやるというのもどんな感じになるか楽しみですね。相手役って、それが年上の方でも年下の方でもいろいろと勉強になるので。

長島  確かに。でも、基本的にみなさん仲良く、アットホームな感じでやっています。今日の日まで記者会見があったりコンセプトの説明会があったり、と本当に初めてのものを同時にスタートしている仲間なので、誰と誰が仲良し、誰と誰が初対面、というよりは本当にファミリーのような感じです。同じスタート地点にいて、みんなでつくりあげるっていくあたたかい雰囲気。

集合写真

—それは素晴らしいことですね!園田隆一郎さん、馬場紀雄さんはいかがですか?

そうですね、歌い詰めでいて迎えるオフの日は、やっぱり喉や体力をいかに回復するか?になってきたりもするのですが、自分はまだまだだし、一流になりたいということは常に思うので、体に負担をかけない程度に練習することもよくあります。って、ぜんぜん面白くないですね(笑)。

丹呉  私、園田マエストロをとても尊敬していまして、今回や、来年6月の『フィガロの結婚』など、ご一緒できる機会が続きそうなことをとても嬉しく思います。普段はヨーロッパのベルカント・オペラやロッシーニ作品に精通されている方ですが、園田先生が指揮する“日本オペラ”って私は初めてなので、今回どういう風に振られるのか楽しみです。

長島  そうですよね!馬場先生は、以前『死神』という作品でご一緒していて。そのときは「台本に忠実にやる」という方針で、ト書きに「ビキニ姿で」と書いてあったために本当にビキニを着たりしました(笑)。そのとき以来、久しぶりのお仕事ですが、あのときのように台本のもつ世界観を忠実に、美しく再現してくださると思うので、そういう意味では原作ファンの方にも喜んでいただける舞台になると思います。

—なるほど!コミック、そして美内先生が思い描いていらっしゃる世界観がどのように舞台に現れるか、楽しみですね!さて、今回はおふたりにたっぷりと「伊賀の局」や《紅天女》について語っていただきましたが、最後にちょっと趣向を変えて、オフの日の過ごし方を少しだけお聞きしてもよろしいですか?

オフの写真

丹呉  オフの日ですか?私は鎌倉の近くに住んでいて、海まで散歩に行ったりすることは好きですね。特に夜の海が好きです!そんな休日か、もしくはベッドから一歩も出ない(笑)。

長島  それが「オフ」だよね!私、娘がいまして、歌ってないときはお母さんなのです!だから、完全なオフとはいえないかも…お母さんが「オン」だから。でも、娘が生まれる前って、ずっと延々歌のことを考え続けていましたが、今は子供と向き合うときはそちらに集中しなければいけないので、どうしたって切り替えなきゃいけなくて。その切り替えが、ある意味ではいいことかなと思っています。

オフの写真

丹呉  あれ、ランニングとかしていなかったっけ?

長島  あ、してる!でも、あれはオフの過ごし方というより、歌のためのルーティーンワークだから…私は、丹呉さんと同じ神奈川県民なのですが、どちらかというと山側に住んでいるので、信号も少ないですし走りやすいのです。

丹呉  いいなぁ。同じ伊賀の局でも、私は海に住んでいて、長島さんは山に住んでいる。ここにも対比がありましたね!

—本当ですね!おふたりとも、自然のパワーやご家族との時間を糧にされているのですね。貴重なお話、ありがとうございました。

新企画<聞いてみタイム>♪アーティストからアーティストへ質問リレー

アーティストからアーティストへ質問リレー。山本康寛さんから、丹呉由利子さん&長島由佳さんへ。

−さて、恒例の、歌手から歌手への質問コーナー「聞いてみタイム」です。今回は、前回の山本康寛さんから、丹呉由利子さんと長島由佳さんへのご質問です。

質問コーナー

〜おふたりにとって、日本語を歌うこととは?〜

丹呉  やっぱり精神的にとてもダイレクトですよね。歌を始めて、テクニックを磨きたいとかいい声を出したいとか、それって表現するための“道具”を集めている段階で、その道具を集める作業と、“表現”をする作業って違うと思うのです。どんなにイタリア語を一生懸命勉強して、どんなに自分自身が理解していて噛み砕いて歌っても、やっぱりお客様は字幕を見て聴いている。日本語ってそうではないなと。日常的に使っている言葉で私たちも表現できるし、お客様にも捉えていただける。何か表現したいものがあるから、そのために道具を集めて、表現につなげるのが再現芸術家だとしたら、日本語で歌うことってとてもそれがやりやすいと思います。

−確かに、日頃使っている言語ですものね。日常的に使っているからこその難しさもありませんか?

丹呉  それはあると思います。でも、そこをクリアにできれば、やっぱり聴いている方には「分かりやすかった!」と言っていただきやすいのだと思います。私、オペラにかしこまって来てほしくないなと思っていて。『ラ・トラヴィアータ』とか『フィガロの結婚』とかいうと、やっぱりどことなくかしこまっていらっしゃる方も多いなかで、「日本語の作品だから」というとホッとされる部分ってあるように思います。

長島  私の場合、最初は日本オペラ振興会の藤原歌劇団に入団したのです。でも、海外の作品を歌うことに、何か肚に落ちないものをずっと抱えていて、ある日日本オペラの合唱に乗った時に「嘘がないな」と思ったのです。誰がどんな発声で歌い、どんな解釈でそのセリフを捉えても、嘘がない。それは日本語で歌う方が行間が読みやすく、肚に落ちやすいとうことだったかもしれません。私のなかでも、そのことですごく生き生きと歌ったり演じたりすることができたから、なんの迷いもなく日本オペラ協会に移籍しました。それは、今丹呉さんが話したことと似ていると思います。10年ぐらい経ち、だんだん歌というものを学んでいくうちに、海外のものと日本のものを歌うときでそんなに自分の体の楽器としての使い方って変わらないのだな、表現するってことにも変わりはないのだなと、逆にようやく気がついてきました。

−長く日本語を歌っていらしたからこそ、そこに“海外作品”とか“日本作品”という差のない、表現の根幹のようなものを見つけたのですね。

長島  今回の《紅天女》の台本を最初に読んだとき、私が日本オペラデビューのときに出させていただいた『天守物語』という作品に少し似ているなと感じました。『天守物語』の主人公である富姫の、自然界をとても大事に思っているところや、相手役の図書之介が殿さまの鷹を取りに天守へ登ってきたとき、「鷹は誰のものでもない。鷹には鷹の世界がある。」というセリフが、紅天女に通じる部分を感じます。これは、日本人ならではの自然への捉え方なのかもしれません。『天守物語』がより日本的、《紅天女》はそこにもう少し現代的な要素が加わっていると感じますけれどね。

−おふたりの、日本語で歌うことへの想いが伝わりました。ありがとうございました。

取材・まとめ 眞木茜

PROFILE:Soprano  長島由佳 Yuka NAGASHIMA

長島由佳
昭和音楽大学卒業。日本オペラ振興会オペラ歌手育成部第23期生修了。第36回イタリア声楽コンコルソにてイタリア大使杯受賞。09年に「天守物語」の葛にて日本オペラ協会にデビュー。その後、日本オペラ協会公演「夕鶴」つうに抜擢され成功を収める。10年「魅惑の美女はデスゴッデス!(死神)」死神、みなとみらいホールでのオペラシリーズにおいても同役で出演し好評を博す。また「袈裟と盛遠」「那須與一」など日本オペラ作品を中心に活躍を続ける。その他X-FLAG「MONST OPERETTA」クシナダ零役やクラシック音楽専門ラジオ「OTTAVA」出演などにも出演し成功を収めている。日本オペラ協会会員。

PROFILE:Mezzo Soprano  丹呉由利子 Yuriko TANGO

丹呉由利子
昭和音楽大学卒業、同大学大学院修了。第47・51回日伊声楽コンコルソ入選。昭和音楽大学オペラ「ピーア・デ・トロメイ」のロドリーゴにてオペラデビュー。以降、文化庁人材育成支援公演「ジャンニ・スキッキ」「魔笛」等に出演。藤原歌劇団には「ラ・トラヴィアータ」のフローラでデビュー、「愛の妙薬」「セビリャの理髪師」でいずれも好評を得ている。「メサイア」「第九」等、宗教曲のソリストを務める他、BS-TBS「日本名曲アルバム」等の収録にも参加している。また、上海音楽院と昭和音楽大学の交流オペラ公演「フィガロの結婚」に出演するなど、国際的にも活躍している。藤原歌劇団団員。
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