1. トップ
  2. >
  3. 公演情報・チケット
  4. >
  5. CiaOpera!
  6. >
  7. Vol.40-佐藤美枝子 3

CiaOpera!

オペラの厳しさを目の当たりにした、イタリアでの思い出。

ーそれにしても、このジルダという役は佐藤さんにとってオペラのロール・デビューでもあったのですよね。それも、イタリアで。何か、その時の思い出のエピソードはありますか?

日本オペラ振興会の研修所で2年間勉強したあとすぐイタリアに行って、初めて受けたオーディションでいただいた役柄です。ジルダ役のオーディションに2番手で受かり、A・BキャストでいうBキャストになったのですが、育成部の2年間では立って芝居をするという勉強がどれだけできたのか、というくらい、その時はほとんど動けなかったのです。そしてまた、向こうでは日本と違い、Bキャストは稽古中ほとんど見ているだけなのです。昔からどこの劇場でもそういったやり方だったようなのですが、その見ているだけの状態を重ねて、いきなり本番に立たされる。すごく厳しいのですよね。ですので、とにかく目を皿のようにしてAキャストがやっている稽古を見て、書き込んで、家で自分でさらってみて、これでいいのかどうか何も分からない状態で本番に立った記憶があります。衣装も着せられるがままに着て、「これでいいのかな?これでいいのかな?」と、もう怖さばかりで。そんななか、リゴレット役のステーファノというイタリア人歌手の方にものすごく助けられました。リゴレットをレパートリーにされている歌手で、その公演にはゲストでシングルキャストとしていらっしゃいました。舞台上での動きから何からアシストしてくれて本当に助けられました。

ー大変なご経験も、たくさんされたのですね。イタリアでは、お休みの日はどのように過ごされていたのですか?

オフの日は、家で家事をすることが多かったですね。というのも、イタリアの家は日本と違って広く、また、イタリア人の家はどこへいってもホコリが全然なくて本当にきれいなのです。その家のマンマが朝5時ごろに起きて掃除をし、市場へ行って買い物をして食事をつくる、家族の為に家を守っているのですね。私もイタリアのマンマに影響されて掃除をするのが日課でした!スーパーに売っているハンディークリーナーで床を掃除するのが楽しくて楽しくて。その頃は、『オリー伯爵』と『カヴァレリア・ルスティカーナ』が大好きで、毎日どちらかがお掃除中のバックミュージックでした。それには訳があるんです。『カヴァレリア・ルスティカーナ』は育成部修了後すぐにあった、藤原歌劇団の公演の影歌のアレルヤ・コーラスのメンバーとして公演に乗せていただいたことがきっかけで作品に触れ、大好きになった演目でした。『オリー伯爵』は元々若い頃から大好きだったので、当然お掃除中のバックミュージックナンバーの筆頭に挙げられる作品でしたが、2017年の藤原歌劇団公演でこの演目にキャスティングしていただいた事は、本当に、心が躍るほど嬉しい気持ちでした。しかも!演出は今回と同じく、松本重孝先生でした。

2014年藤原歌劇団公演「オリィ伯爵」

2014年藤原歌劇団公演「オリィ伯爵」(オリィ伯爵:アントニーノ・シラグーザ)

ー大好きなオペラをかけながらお掃除!それは楽しそうですね!

楽しかったですよ!イタリア人はみんなオペラが大好きなので、家で、しかも大音量でオペラを何時間流していようとも、文句を言いに来る人なんていませんでしたしね。
残念ながら最近は、お掃除中にオペラをかける事はなくなりましたね。自分が勉強せねばならないレパートリーのもの以外の曲を聴く時間も余裕も、残念ながら今はありません‥‥。無音が良いです!(笑)

ー今は、きっと何か音楽が流れていると、気持ちがお仕事モードになってしまうのでしょうね。その時々で、心地いい環境というのも変わってくるものですよね。楽しいお話、ありがとうございました。

新企画<聞いてみタイム>♪アーティストからアーティストへ質問リレー

アーティストからアーティストへ質問リレー。丹呉由利子さん&長島由佳さんから、佐藤美枝子さんへ。

−恒例の「聞いてみタイム」は、今回も健在です。今回は、『リゴレット』別チームの上江隼人さんから、佐藤美枝子さんへのご質問です。

質問コーナー

〜年々歌手の寿命が短くなっていると言われていますが、長く歌い続けるための秘訣は何でしょうか?〜

それはなんと言っても『探究心』だと思います。というよりも、〝年々歌手の寿命が短くなっている〟と言われているのですか?????
もし本当にそんな事を言われているのでしたらば、日々の鍛錬が足りないからなのでは?と感じますね。
歌手である以上、発声も表現も「これで良い」という事などないのです。ずっと美しい響きに乗せた、良い声で歌っていかねばならない!歌って行きたい!のです。そのために練習、練習、尚練習!ですよね!!!
私たちは身体が楽器ですから、誰かが調律してくれるわけでもなく、ケアは全て自分の手にかかっているわけです。もちろん、疲労、疲弊していれば身体が楽器の私達は万全に歌えませんので、休むことも睡眠を取ることも必要で、それもメンテナンスの一つで「仕事」なのです。
上手に休みも取り、精神的にもリラックスした時間を過ごすこともしながら、声作り、役作りの為に「死ぬまで、正しい?!練習あるのみ!!』なのだろうと思います。
声楽家は、4、50代が一番良い時期と言われています。常に向上心を持ち、高みを目指して成長していかねば!それには練習あるのみ?!それしか言ってない(笑)けれども結局、練習、稽古、あるのみ、っていうことですね。 良い音楽を聞いたり本を読んだり、演劇や映画を観たりして、それも糧にしながら、練習、稽古!!!です。

寿命が短くなっているなんて言われないよう、中堅に差し掛かる私達年齢の歌手は、まだまだまだまだ頑張りまーす!!!

ー40回目という節目のインタビューにふさわしい、熱いお言葉をありがとうございました!

取材・まとめ 眞木茜

PROFILE:Soprano 佐藤美枝子/Mieko SATO

佐藤美枝子
武蔵野音楽大学卒業。日本オペラ振興会オペラ歌手育成部第9期生修了後、ローマに留学。97~99年五島記念文化財団の奨学生として引き続きローマで研鑽を積む。第30回日伊声楽コンコルソ第2位。第64回日本音楽コンクール第1位、同時に増沢賞、海外派遣特別賞受賞。第11回チャイコフスキー国際音楽コンクール第1位。95年ローマにて「リゴレット」のジルダでデビュー。イタリアで研鑽の傍ら日本でも演奏活動を行い、99年新国立劇場に「カルメン」のミカエラでデビュー。藤原歌劇団には、00年「ルチア」のタイトルロールでデビューを飾り、以降「カプレーティ家とモンテッキ家」「ラ・トラヴィアータ」「ランスヘの旅」「ラ・ボエーム」「リゴレット」「オリィ伯爵」「ドン・パスクワーレ」等で成功を収めている。16年「アルベルト・ゼッダ スペシャルコンサート」において、カンタータ「テーティとペレーオの結婚」のテーティを好演。日本オペラ協会には「美女と野獣」絹、「天守物語」亀姫、「春琴抄」春琴、「よさこい節」お馬、「夕鶴」つうでいずれも好評を博し、日本を代表するソプラノとして華々しく活躍している。これまでに「ああ、信じられないわ~オペラ・アリア集」など全7枚のCDをリリース。第7回五島記念文化賞オペラ新人賞、第9回出光音楽賞、第10回新日鐵音楽賞フレッシュアーティスト賞、第2回ロシヤ歌曲賞、第3回下總皖一音楽賞受賞。 藤原歌劇団団員。日本オペラ協会会員。武蔵野音楽大学准教授。大分県立芸術文化短期大学客員教授。大分県出身。
ページ上部