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作品について

原作 泉 鏡花 作曲 水野 修孝 台本 金窪 周作

オペラ全2幕

ニュープロダクション

イントロダクション

泉鏡花原作、水野修孝作曲のオペラ「天守物語」は今回当会で8演目を迎える日本オペラのレパートリー作品です。
原作の美しい文体と鏡花独自の幻想的なシチュエーションが、即興性を基調に古典から現代までの語法を駆使し、ジャズのリズムも取り入れた水野の流麗な音楽と相俟ち、日本オペラの秀作として極めて高い評価を得ています。
この度は荒井間佐登の新演出により、このオペラの魅力を新たに発掘する公演となります。
指揮は前回公演にも出演し好評を得た山下一史、出演は高雅にして美しく妖艶なヒロイン富姫に角野圭奈子、佐藤路子の新進ソプラノを抜擢、図書之助には人気テノールの中鉢聡と関西で活躍中の新進、迎肇聡を起用、加えて沢崎恵美、泉良平、豊島雄一、きのしたひろこ、二渡加津子ら日本オペラに定評のある、実力ある歌手を揃えての上演です。どうぞご期待ください!

見どころ・聴きどころ

1979年3月、郵便貯金ホール(現在のメルパルクホール)にて初演された「天守物語」は、日本オペラシリーズの中でも最も成功した作品の一つです。他にも演劇、映画、能楽と様々なジャンルで親しまれていますが、中でも1977年、坂東玉三郎の主演で有名になりました。
反リアリズムとして幻想の中にロマンを求め、爽やかな美と人間性を主張する鏡花の世界に、オペラとしての豊麗な音響、陶酔のメロディ、そして鏡花の文体の様式を巧みに写し換えた水野修孝の音楽が相俟ち、幽玄な世界観を彷彿しています。 ヒロイン富姫の登場は最初の見どころであり、「しずかに夢遊するごとく」と優美に歌い始めます。 亀姫の付人である朱の盤坊と舌長姥の滑稽なシーン、富姫と亀姫の戯れと、世離れした世界が続きます。 人間界の図書之助から鷹を奪った富姫が「鷹には鷹の世界がある。露霜の清い林、朝風夕風の爽やかな空があります。決して人間の持ちものではありません」と静かに語る様は幽玄の美そのものと言えます。
オペラだからこそ味わえる傑作と音楽の融合を、是非劇場でお楽しみ下さい!

あらすじ

播州姫路白鷺城の天守五重に、百年このかた人が足を踏み入れることを許さぬ世界がある。 そこには金色の眼を持つ木彫りの獅子頭と、その精を受けて生きる魔性のものたちが棲みついていた。 そのひとり、天守夫人富姫のもとを、猪苗代亀の城の城主の生首を手土産に亀姫が訪れる。 気を良くした富姫は、姫路城主武田播磨守の大切な鷹を取り上げて亀姫に与える。 そのため鷹匠の図書之助は天守の五重を見届けるよう命ぜられる。
図書之助の美しさのとりこになった富姫ははじめ彼を引き止めるが、彼の迷いを見て諦め、宝蔵から盗み出した兜を与えて下界に帰す。 しかし、この兜があだとなり追われる身となった図書之助は、再び天守へと逃げ込んでくるのだが……

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