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作品について

プッチーニ作曲「ラ・ボエーム」

全4幕 字幕付き原語(イタリア語)上演

イントロダクション

藤原歌劇団公演「ラ・ボエーム」。バルバラ・フリットリ、ジュゼッペ・フィリアノーティら数々の名歌手たちが演じてきた岩田達宗演出の舞台は、30歳の若さでパリで夭折した洋画家、佐伯祐三(1898-1928)の油絵からインスパイアされたものです。その大人気の舞台を、東京(東京文化会館)、愛知(愛知県芸術劇場)、兵庫(兵庫県立芸術文化センター)にて、3箇所4公演をお届けいたします。
その舞台で今回、お針子のミミを演じるのは、2020年8月の「カルメン」で可憐なミカエラを演じたソプラノの伊藤晴(1/30 & 2/6)と、2017年の同オペラでフラスキータを演じた尾形志織(1/31)、そして関西を中心に活躍する平野雅世(2/27)。詩人ロドルフォには、今や日本のスター・テナーとしての座を固めつつある笛田博昭(1/30 & 2/6)、「仮面舞踏会」「ドン・パスクワーレ」「ノルマ」「カルメン」など、藤原歌劇団公演で数々の主役を演じてきた藤田卓也(1/31)と「ルチア」のアルトゥーロなどで藤原歌劇団公演に出演している小笠原一規(2/27)。絵描きマルチェッロには日本におけるイタリア・オペラを双肩に背負うふたり、須藤慎吾(1/30 & 2/6)と上江隼人(1/31 & 2/27)を配しました。その恋人ムゼッタは、ウクライナ出身で、藤原歌劇団の公演ではお馴染みのオクサーナ・ステパニュック(1/30 & 2/6)と中井奈穂(1/31 & 2/27)。音楽家ショナールに演技も達者な森口賢二(1/30 & 2/6)と市川宥一郎(1/31 & 2/27)、哲学者コッリーネには、中堅どころの伊藤貴之(1/30 & 2/6)と若手ながら活躍し始めている小野寺光(1/31 & 2/27)。藤原歌劇団のベスト・メンバーともいえる歌手たちが、パリ、カルチェ・ラタンで夢を追いかける若者たちの姿を生き生きと演じます。指揮は2019年にベルカントオペラフェスティバル インジャパン「フランチェスカ・ダ・リミニ」で初来日し、日本初演を成功に導いたイタリアのセスト・クワトリーニ(1/30, 31 & 2/6)、藤原歌劇団公演2019年「蝶々夫人」、2020年「カルメン」で実績を積んでいる鈴木恵理奈(2/27)。演奏は、東京フィルハーモニー交響楽団(1/30, 31)、セントラル愛知交響楽団(2/6)、兵庫芸術文化センター管弦楽団(2/27)が歌手たちと共にプッチーニの世界を作り上げます。

見どころ・聴きどころ

第1幕でろうそくの火を借りにきたミミに、ロドルフォが自己紹介をする「冷たい手を」、それに続くミミによる「私の名はミミ」は、どちらもプッチーニのオペラの中でもよく知られたアリアです。
第2幕の冒頭のクリスマス・イヴで賑わうカルティエ・ラタンの群衆のどこか華やいだ様子を見事に描き出した合唱も聴きどころのひとつです。パトロン、アルチンドロを従えて登場し、男たちの目を釘付けにするムゼッタのワルツ「私が街を歩くと」もリリコ・レッジェーロのソプラノの定番アリア。
打って変わって第3幕はミミとロドルフォの別れの場面となります。ミミが歌う「あなたの呼ぶ声に」そしてふたりが「春になったら別れましょう」と語り合う切ない二重唱「本当に終わりなんだね」といった、しっとりとした曲が並びます。
終幕でコッリーネが歌う「古い外套よ、聞いておくれ」はプッチーニのオペラでバスが歌うアリアとしては最も知られているものです。再会を喜ぶミミとロドルフォの二重唱「みんな出て行ったの?」。そして訪れる永遠の別れ。ロドルフォの絶唱が涙を誘ってこのオペラは終わります。

あらすじ

【第1幕】1830年のパリ クリスマス・イヴ
詩人のロドルフォ、絵描きのマルチェッロ、音楽家のショナール、哲学者のコッリーネという夢を追いかける若者4人が、パリのアパルトマンの屋根裏部屋で共同生活をしている。薪を買うお金もなく寒さに震えているところに、ショナールが、金持ちの家で音楽を教えて得た銀貨と食べ物やワインを山のように持って戻って来るので、彼らはお祭り騒ぎ。家賃を取り立てに来た家主のベノアをうまく追い返し、「もう少し仕事をする」というロドルフォを残して、3人は一足先に街に繰り出していく。

ロドルフォがひとりで詩作にふけっていると、ドアをノックする音がする。そこに立っていたのは美しいが、青白い顔をした娘ミミで、「ロウソクの火が消えてしまったので、分けてくださいませんか」と言う。ロドルフォは彼女を部屋に招き入れ、気付け薬にワインを飲ませる。少し元気を取り戻したミミは礼を言って立ち去ろうとして、自分の部屋の鍵を置き忘れたことに気付く。吹き抜けた一陣の風でミミのロウソクの火が消える。ロドルフォも自分でロウソクを吹き消して、ふたりは真っ暗な中で鍵を探し始める。ふと互いの手が触れ合う。ロドルフォは「なんて冷たい手をしているのでしょう。温めて上げましょう」と彼女の手を握ったまま自分のことを語り出す。「冷たい手を」
それに続いてミミも「私の本当の名前はルチア。でもみんなは私をミミと呼びます。毎日お花の刺繍をしています」と身の上話をする。「私の名はミミ」下から仲間たちが呼ぶ声がする。ふたりは腕を組んで、出掛けていく。二重唱「愛らしいお嬢さん」

【第2幕】カルティエ・ラタン
クリスマスでごった返すカルティエ・ラタンで、ロドルフォはミミにピンク色のボンネットを買い、マルチェッロたちとカフェ・モミュスで合流する。
そこにパトロンのアルチンドロを従えた美しい娘、ムゼッタが現れる。喧嘩別れをしたばかりのマルチェッロが自分に興味がないふりをするので、彼女はドレスの裾をたくし上げてその美しい脚を見せ、「私が街を歩くと、みんなが立ち止まって振り向くの」と、その場にいた男たちの目を釘付けにしてマルチェッロの嫉妬心を煽る。ムゼッタのワルツ「私が街を歩くと」
マルチェッロが我慢ができなくなった様子を見たムゼッタは、「靴が合わなくて痛いわ。新しい靴を買って来てちょうだい」とアルチンドロを追い払い、マルチェッロと抱き合う。ボーイが差し出したカフェの請求書を見た若者たちは、あまりの値段の高さにびっくり。しかしムゼッタは慌てず騒がず「これもさっきの紳士が払うわ」と言い残し、彼らは雑踏の中に紛れて消える。

【第3幕】アンフェール門
夜明け近く。パリの城門のひとつであるアンフェール門では、多くの人々が開門を待っている。そのそばに一軒の酒場がある。マルチェッロはそこで絵描きをし、ムゼッタは客の相手をしながら生活をしている。そこにミミが現れる。マルチェッロを見つけたミミは、ロドルフォが「もう僕たちは終わりだ!」と言って出ていってしまったのだと訴える。マルチェッロはロドルフォが昨晩、ここに現れて、今は仮眠を取っていると話す。ロドルフォが起きてくるので、ミミは物陰に姿を隠す。マルチェッロに何があったのかを尋ねられたロドルフォは、「ミミが肺病に侵されているのに、自分は何もしてやれないのだ」と苦悩を語る。それを聞いたミミが泣き出し、ロドルフォはミミがいることに気づく。ミミが別れを切り出す。「あなたの愛の呼ぶ声に」
ふたりは「春になったら、別れましょう」と語り合う。二重唱「本当に終わりなんだね」
客に媚びを売るムゼッタの嬌声に腹を立てたマルチェッロは、またも彼女と大喧嘩になり、互いを大声で罵り合いながら去っていく。

【第4幕】数ヶ月後の屋根裏部屋
ロドルフォはミミを、マルチェッロはムゼッタを思い出しながら、またあの屋根裏部屋に戻って暮らしている。そこに息せき切ったムゼッタがやってくる。そして「自分の死が近いことを悟ったミミが、愛する人のもとで死にたいと言ってここまで来たけれど、彼女にはもう階段を上がる力もないの」と告げる。ロドルフォはミミを迎えに飛び出していく。
やっと部屋に辿り着いたミミは、若者たちに声を掛ける。ムゼッタは自分のイヤリングを売って医者を呼ぶように言い、寒がるミミのために自分のマフを取りにマルチェッロと一緒に出て行く。コッリーネは自分の古い外套に別れを告げ、お金を作りに出掛ける。「古い外套よ、聞いておくれ」ショナールもミミとロドルフォをふたりだけにするためにそっと外に出る。

ふたりきりになったミミとロドルフォはひしと抱き合い、ロドルフォは大切に持っていたピンクのボンネットを差し出す。ミミはそれを見て喜び、ふたりは幸せだった日々を懐かしむ。二重唱「みんな出て行ったの?」
若者たちが戻ってくる。マフを受け取ったミミは「なんて暖かいのでしょう。ロドルフォ、無駄なお金をつかって…でも、ありがとう」と礼を言う。説明しようとするロドルフォをムゼッタが押しとどめる。
ミミがまどろみ始め、彼らがホッとしたのもつかの間、ショナールが、ミミが息を引き取っていることに気付く。友人たちの異様な様子にミミの死を悟ったロドルフォは、彼女の亡骸にすがりついて慟哭する。
(河野典子)

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