作品について
伊藤康英 作曲 高木 達 台本
オペラ全2幕 日本語上演
こうなってわかった! 自分の気持ち。
イントロダクション
オペラ「ミスター・シンデレラ」は、2001年に鹿児島オペラ協会委嘱作品として初演され、ウィットとユーモアに富んだ現代感覚のオペラとして大好評を得、当会では2004年に鹿児島オペラ協会との共同制作公演として東京上演し、2017年に室内オペラシリーズとして室内オペラ版に編曲し、新国立劇場小劇場にて再演しました。今回はフルオーケストラ版で、演出も一層し新宿文化センター大ホールよりお届けいたします。
「真実の愛とは、幸せとは」という身近なテーマを、奇想天外なストーリーとスピード感のある展開、また親近感ある楽曲でお贈りするこのオペラ「ミスター・シンデレラ」。コアなオペラファン以外にも広くアプローチし、ミュージカルのような感覚で幅広い層に楽しんでいただける作品です。指揮は今回が日本オペラ協会初登場となる仲田淳也、台本を手がけた高木 達が自ら演出を務め、その作品の真髄を露にします。キャストには役柄に相応しい、日本オペラに定評のある歌手陣が数多く出演いたします。どうぞご期待ください!
見どころ・聴きどころ
オペラというと冒頭に序曲があったり、前奏から始まってさあ歌手が登場!となる場合が多いですが、このオペラ「ミスター・シンデレラ」は全く違います!驚きの開幕にきっとあなたもこの物語に引き込まれるはず。さてどの様に始まるのか…?は見てのお楽しみ!
ストーリーは、主人公の正男が赤毛の女になったり男に戻ったりするのですが、なんと潮の満ち干きに関係があるのです。それはただの変身ではなく、その人の人格の二面性を表している…のかもしれません。そして最後の変身は、深夜12時…そう、それはまさにシンデレラタイム。ごくありふれたマンネリ真っ只中な夫婦の話ですが、ストーリーを面白く彩っているのは鹿児島弁で語る正男の両親、伊集院忠義、ハナ夫婦がエッセンスとなっています。もちろんその他の登場人物も個性豊かで、歌唱・演技ともにご注目ください!オペラ全体を通して、隠し味とも言えるウィットに富んだ面白さを見つけていただけるはずです。このオペラを観終わった後は、改めて夫婦の真実の愛に目覚めることができる……かも!?
あらすじ
【第1幕】
鹿児島おはら祭の前日。
鹿児島のとある大学でミジンコの研究をしている夫・正男と、蜜蜂の研究をしている妻・薫は、すれ違う日々から倦怠期にさしかかっていた。ある朝、薫が冷蔵庫で保管していた蜜蜂の性ホルモンを栄養ドリンクと間違えて正男が飲んでしまう。すると、正男の体は潮の満ち引きによって美しい赤毛の女に変身するようになってしまった。
薫は大学の上司で蜂研究の世界的権威である垣内教授からランチに誘われてウキウキしている。するとそこへ赤毛の女が入ってきて薫の浮気をなじろうとすると、赤毛の女は正男に戻っていた。薫は「変態!」と悲鳴をあげる!
赤毛の女と正男、二人はお互いの良さを認め始めているが、いつかは元に戻らねばならない。そこで正男はある作戦を考えた!
【第2幕】
おはら祭の夜。
垣内教授の学部長就任パーティが賑やかに行われている。そこに艶やかな装いで赤毛の女が現れ、垣内教授はたちまち恋に落ちてしまう。
そこで赤毛の女も自分が消えてしまわないように作戦をたて、彼女から垣内教授への手紙と、垣内教授から薫への偽の伝言、どちらも「海辺のホテルで待っている」と結んでいる。
海辺のホテルで赤毛の女が垣内と逢引をしている。そこに薫が走り込んで来て「あなたが大好き。でも夫を裏切ることはできません。あなたと違って夫はつまらない男、ぶ男で、貧乏で、何の取り柄もない男。でもまだ愛してることが分かったの!」その時シーツの中から薫を呼ぶ声が……そこに現れたのは赤毛の女の格好をした正男だった…!
やっと正体を知った垣内教授は、男に戻る薬と女になる薬を作り、この先も女として人生を共にしたいと赤毛の女に懇願するが、正男は妻・薫との間に真実の愛を確信し、もう一度夫婦としてやり直す決心をする…。”ある朝、人生をふりかえったとき、そばにいた大切な人…“