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公演概要 G.ロッシーニ作曲「オテッロ」

G.ロッシーニ作曲「オテッロ」

全3幕〈字幕付き原語(イタリア語)上演〉

イントロダクション

 


見どころ・聴きどころ

原作に位置するシェイクスピアの悲劇『オセロ』とは異なり、ロッシーニの歌劇《オテッロ》は高貴で誇りあるヒロイン、デズデーモナを中心に展開する。オテッロとロドリーゴ、彼らに罠を仕掛けるイアーゴを3人のベルカント・テノールが務め、第1幕は導入部の勇壮なカヴァティーナ、ロドリーゴとイアーゴの二重唱、抒情的な女声二重唱が聴きどころ。第2幕はデズデーモナに拒否され苦悩するロドリーゴのアリア、ヴェルディに影響を与えたオテッロとイアーゴの二重唱、2人のテノールのハイD対決があり、デズデーモナの激烈なアリアで締め括られる。嫉妬と陰謀の物語はここで終わり、第3幕ではゴンドラ漕ぎのカンツォーネ、ハープ伴奏の名歌〈柳の歌〉を交え、デズデーモナが刺殺されるシーンがロマン派を先取りするドラマティックな音楽と作劇で描かれる。


あらすじ

【第1幕】
 [ヴェネツィア、ドゥカーレ宮殿の]上院の広間。トルコ軍との戦いに勝利して凱旋したアフリカ人[註]オテッロは、褒美にヴェネツィアの市民権を与えられる。オテッロは上院議員エルミーロの娘デズデーモナと秘密裏に結婚の契りを結んでいたが、それを知らぬエルミーロは娘をドージェ[総督]の息子ロドリーゴに嫁がせようと考える。オテッロの出世に嫉妬するイアーゴもデズデーモナの手紙を利用してロドリーゴを味方につけ、オテッロを陥れようと画策する。エルミーロがロドリーゴとデズデーモナを婚礼の場に導くと、オテッロは彼らを遮ってデズデーモナが自分に愛を誓ったと明かし、彼女もこれを認める。その言葉に一同驚愕し、エルミーロは娘に呪いの言葉を浴びせて連れ去る。ロドリーゴとオテッロは睨み合い、混乱のうちに幕を下ろす。
註 この歌劇の正式題名は《オテッロ、またはヴェネツィアのムーア人》だが、台本と役柄の説明ではオテッロをアフリカ人とのみ称する。

【第2幕】
 エルミーロの館の一室。デズデーモナに言い寄ったロドリーゴは、「私はもうあの人の妻です」と拒まれ、オテッロへの復讐を誓う。一方、デズデーモナの愛に不信を抱いて家で悶々とするオテッロの前にイアーゴが現れ、デズデーモナの手紙を見せてロドリーゴへの愛を告白したものと信じ込ませる。怒り狂って復讐を誓うオテッロは、ロドリーゴに決闘を挑む。デズデーモナが駆け込んできて闘いを止めようとするが、2人に怒りを向けられ、絶望のあまり失神して倒れる。オテッロとロドリーゴは彼女を置き去りにして決闘の場に向かう。エミーリアの介抱で意識を取り戻したデズデーモナはオテッロの身を案じるが、友人たちから無事を知らされ安堵する。だが父エルミーロから非難され、罰が下されようと言われたデズデーモナは、悲しみのどん底に突き落とされる。

【第3幕】
 デズデーモナの寝室。悲しみにくれる彼女をエミーリアが慰めていると、ゴンドラ漕ぎの悲しげな歌──「みじめな境遇にあって、幸せの時を想いおこすより悲しきは無し」──が聞こえる。自分の死を予感したデズデーモナは、乙女が悲しみの果てに柳の根元で息絶える〈柳の歌〉を歌い、神に祈りを捧げて眠りにつく。そこに隠し扉からランプと短剣を手にしたオテッロが現れ、デズデーモナの優しい寝顔を見て殺すべきか否か逡巡する。けれども彼女が寝言で口にした「いとしい人」をロドリーゴのことと勘違いし、逆上する。稲妻が光り、雷鳴が轟き、デズデーモナは目を覚ます。詰問するオテッロと身の潔白を訴えるデズデーモナの激しい口論の末、絶望した彼女は「私を殺してください」と迫り、オテッロに刺し殺される。そこにルーチョが来て、ロドリーゴと闘ったイアーゴが陰謀を告白して死んだと教える。誤解を解いたエルミーロとロドリーゴが駆け付けるとオテッロはデズデーモナのなきがらを見せ、自分の過ちを悔いてみずから命を絶つ。

水谷彰良

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