藤原歌劇団

藤原歌劇団は、日本オペラ振興会の西洋オペラを公演する事業部門であり、日本で最も歴史があるオペラカンパニーです。今日まで80作品(うち日本初演30作品)を超えるオペラを上演しており、イタリア・オペラを主軸とする公演路線は広く親しまれています。

藤原義江を中心とする日本の代表的な歌手たちとスタッフによって、1934年6月日比谷公会堂においてプッチーニの「ラ・ボエーム」が上演され、藤原歌劇団が誕生しました。

以来、わが国初の本格的オペラ団体として今日まで公演活動を継続し、日本初演を含む80作品を超えるオペラをこれまでに上演し、特にイタリア・オペラを主軸とする公演路線は広く親しまれています。

藤原義江は人気テノールとして主役で活躍するかたわら、初代総監督として38年間藤原歌劇団を統率し、日本のオペラ界の先駆者として偉大な功績を残しました。

1934年「ラ・ボエーム」

藤原義江とともに藤原歌劇団を創設し、第一回公演以来の協力者であった名バス・バリトン下八川圭祐が、1972年に藤原義江の委嘱により二代目総監督と団の運営を継承し、団の存続に尽力しました。

1978年から84まで下八川共祐が制作を担当、その間、イタリアで本格的オペラ演出の研鑽を積み帰国した新進気鋭の演出家粟國安彦を起用した数々の公演で斯界における演出の新時代を築きました。

1980年「愛の妙薬」

1985年より三代目総監督に藤原歌劇団で数多くの主役で活躍したテノールの第一人者五十嵐喜芳が就任しました。

五十嵐喜芳総監督は、名作を中心にオペラの普及を目指し、歌手はもとより指揮、演出をはじめとするスタッフ等、適材適所で外来アーティストを起用した国際レヴェルの舞台、また、1986年から日本で初めて字幕を導入して新風を吹き込むなど、画期的成功を収めました。

特に「運命の力」「アンドレア・シェニエ」「ノルマ」「ラ・ファヴォリータ」など我が国ではむずかしいとされてきた名作の高水準の公演は世評を高め、日本オペラ界の向上・発展に大きく寄与してきました。

1988年「ラ・トラヴィアータ」

1999年7月、五十嵐喜芳総監督の新国立劇場オペラ芸術監督に就任以降は、下八川共祐(財団法人日本オペラ振興会常任理事)が再び制作の任にあたり、名作路線を継承し、2003年9月より藤原歌劇団バス歌手の岡山廣幸が公演監督に就任し、「ロメオとジュリエット」「アドリアーナ・ルクヴルール」「ラ・ジョコンダ」などを初めて取り上げる一方、2003年からは意欲的にロッシーニ作品を上演し続け、「イタリアのトルコ人」「アルジェのイタリア女」「ラ・チェネレントラ」「ランスへの旅」「どろぼうかささぎ」「タンクレーディ」「セビリャの理髪師(新校訂版)」と卓越した成果を挙げています。

2004年「アルジェのイタリア女」

最近では2013年ヴェルディ生誕200年記念公演として2月に「仮面舞踏会」を上演し、豪華な舞台と優れた演唱で喝采を浴び、9月には世界的歌姫マリエッラ・デヴィーアを招聘し「ラ・トラヴィアータ」を上演し成功を収めました。

2014年からは四代目総監督に就任し、藤原歌劇団創立80周年記念公演として1月にロッシーニの「オリィ伯爵」初上演、6月、11月には藤原歌劇団の歴史あるプロダクションであるプッチーニの「蝶々夫人」「ラ・ボエーム」、2015年1月にはヴェルディの「ファルスタッフ」新演出と、イタリア・オペラの高水準での上演を続けました。

2015年「ファルスタッフ」

2015年4月より、公演監督としてバリトン歌手の折江忠道がその任に当たり、2016年に五代目総監督に就任。2016年「ドン・パスクワーレ」、2017年「カプレーティ家とモンテッキ家」、2018年「ラ・チェネレントラ」など上演機会の少ないベルカントオペラに加え、2018年には日本初演となる「ナヴァラの娘」を「道化師」とのダブルビルでお届けするなど意欲的な作品を取り上げています。

新型コロナウイルスが蔓延し芸術分野が完全にストップしてしまった2020年、当団がいち早く8月に「カルメン」でオペラ公演を再開させ注目を浴びました。また、2020年「リゴレット」、2022年「イル・トロヴァトーレ」、2023年「二人のフォスカリ」などヴェルディの作品を上演し、“イタリアオペラの藤原歌劇団”を確固たるものとしてきました。

また、2022年にはヴォルフ=フェッラーリの「イル・カンピエッロ」、2023年にはドニゼッティの「劇場のわがままな歌手たち」など、オペラ・ブッファを新制作でお届けするなど、稀有な作品も多く上演しております。

2023年「二人のフォスカリ」

藤原歌劇団総監督

折江 忠道

東京芸術大学卒業、同大学大学院修了。渡伊しミラノ・ヴェルディ音楽院で学ぶ。1982年、83年アレッサンドリア国際コンクール優勝。1982年ヴィオッティ国際コンクール第2位。82年のコンクールの優勝によりアレッサンドリア劇場「ドン・ジョヴァンニ」のタイトルロールでオペラデビューを飾り、以来ヨーロッパ各地の歌劇場で「ラ・ボエーム」「蝶々夫人」「リゴレット」などの主要な役で活躍。藤原歌劇団では88年「ラ・トラヴィアータ」のジェルモンで大成功を収め、同役は持ち役の一つとして度々歌っている他、「マクベス」「ドン・カルロ」「トスカ」「ルチア」「愛の妙薬」「ランスへの旅」などで好評を博している。15年1月には「ファルスタッフ」タイトルロールを歌い、大成功を収めた。日本を代表するプリモ・バリトンとして活躍を続けている。15年4月より藤原歌劇団公演監督に就任、16年より総監督に就任。第16回ジロー・オペラ賞受賞。藤原歌劇団団員。昭和音楽大学特任教授。東京都出身。

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