日本オペラ協会
日本オペラ協会は、1958年に教育オペラ研究会として発足し、60年に日本オペラ研究会、70年に日本オペラ協会と改称して81年の藤原歌劇団との統合にいたりました。
以来「日本オペラ協会」は日本オペラ振興会の日本オペラを担当する事業部門として、“日本の伝統文化に根ざしたオペラの創造と普及”のための活動を一段と充実させ、日本のオペラ界発展の一翼を担っています。
1965年に前・日本オペラ協会総監督の大賀寛が制作を担当して開始した、“日本オペラシリーズ”は、日本オペラの定期公演という画期的な事業で、今日までそのシリーズは続いております。オペラの劇場用レパートリーの充実は日本オペラの分野において最大の課題ですが、日本オペラ協会はこの長年にわたる公演活動のなかで、当会が新作を委嘱したものを含む初演、改訂を委嘱したものを含む再演などを通じてさまざまな成果をあげてきました。
三木稔作曲「春琴抄」、團伊玖磨作曲「夕鶴」、清水脩作曲「修禅寺物語」、水野修孝作曲「天守物語」などは日本オペラのスタンダードなレパートリーとして定着し、日本初演となった三木稔作曲「あだ」、原嘉壽子作曲「祝い歌が流れる夜に」「舌を噛み切った女(のちに「すて姫」と改題)」「よさこい節」「額田女王」や再演の石井歡作曲「袈裟と盛遠」、山田耕筰作曲「黒船」、中村透作曲「キジムナー時を翔ける」、原嘉壽子作曲「瀧廉太郎」なども高い評価を得ました。
1988年10月には、文化庁派遣としてポーランド“ワルシャワの秋”音楽祭に「袈裟と盛遠」で参加し、初の海外公演で成功を収めています。また1984年第39回文化庁芸術祭主催公演「祝い歌が流れる夜に」(原嘉壽子作曲)、1995年、第50回記念文化庁芸術祭主催公演「モモ」(一柳慧作曲)の制作を担当し、「祝い歌が流れる夜に」の制作に対して、1985年、第13回ジローオペラ賞特別賞を受賞しています。
平成21年度は、2月にオーチャードホールにて日本オペラ協会創立50周年記念公演として水野修孝作曲オペラ「天守物語」を星出豊指揮、栗山昌良演出により上演。同年4月には川崎市新百合ヶ丘地域で新しく始まった音楽祭“アルテリッカしんゆり”参加公演として「夕鶴」平成22年4月には今村昌平原作、池辺晋一郎作曲のオペラ「魅惑の美女はデスゴッデス!」(「死神」改題)を上演いたしました。
平成23年度は、12月~1月に池辺晋一郎氏による新作オペラ「高野聖」を東京・金沢・高岡の共同制作により上演し大成功を収め、平成24年度は岩田達宗新演出の「天守物語」、平成25年度は荒井間佐登新演出の「春琴抄」、平成27年度は三浦安浩新演出の「袈裟と盛遠」と日本オペラのレパートリー作品を新演出により上演し、新たな可能性を広げる成果をあげることができました。
平成29年度には、メッゾ・ソプラノの郡愛子が総監督に就任し、意欲的な作品を取り上げています。同年10月、伊藤康英作曲「ミスター・シンデレラ」を室内オペラシリーズとして上演し、現代を舞台にしたファンタジーでハートフルな作品を松本重孝の新演出により日本オペラの可能性を広げる作品として好評を得ました。
平成30年度には、なかにし礼による台本、三木稔作曲のグランドオペラ「静と義経」を上演し、満員のお客様にご来場いただきました。令和元年には美内すずえ原作マンガ『ガラスの仮面』の作中劇「紅天女」をオペラ化し、オペラファンのみならず幅広い年代の客層で、全5回公演を大成功で終幕しました。
令和2年度に上演した「キジムナー時を翔ける」は、第29回三菱UFJ信託音楽賞を受賞。令和4年度には三木稔作曲「源氏物語」を日本語版オペラ世界初演として上演し大好評を得るなど、日本オペラの可能性を最大限に広げ、その魅力を多くのお客様に伝えられるような公演創りを目指し活動を続けております。
日本オペラ協会総監督
郡 愛子
1975年に日本オペラ協会より、78年に藤原歌劇団より、それぞれデビュー。日本初演オペラや創作オペラなどで卓越した才能を発揮するとともに顕著な実績が認められ、日本で唯一のオペラ賞であったジロー・オペラ賞を、85年、86年に2年連続で受賞。また87年には、自身初のリサイタル「オルフェオの世界」で昭和62年度文化庁芸術祭賞を受賞。これまで両所属団体の公演はもとより、小澤征爾指揮「ヘネシー・オペラ・シリーズ」、新国立劇場主催公演、ほか数多くのオペラに出演。2017年度からは、日本オペラ協会総監督として日本オペラの振興と発展に全力を注ぎ、2017年度「ミスター・シンデレラ」「夕鶴」、2018年度 日本オペラ協会創立60周年記念公演「静と義経」の東京初演、2019年度 スーパーオペラ歌劇「紅天女」の新作初演と、幅広い演目で公演を重ねてきている。
公益財団法人日本オペラ振興会 常務理事/日本オペラ協会 総監督
公益社団法人日本演奏連盟 理事