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育成部生の声【研究生】①

オペラ歌手育成部

オペラ歌手育成部に所属している入所生たちはどういう授業を受けて、どのような感想をもっているのでしょう?
”育成部生の声”と題して、育成部生にクローズupし実際にインタビューした生の声をお伝えしていきます。

第一回目は研究生専門Ⅰコースから専門Ⅱ夜コースへ進級したばかりの新家華織さんにお話を伺いました。

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Q.専門Ⅱコースに入って早2か月経とうとしていますが、授業などの感想をお聞かせ下さい。

A.とても忙しいというのが率直な感想です。オペラアンサンブル授業だけでなく、演技の授業、日舞の授業など充実して入っているので時間が過ぎるのがあっという間です。
日舞などは踊る機会がなかったので、実際体験してみたのは今回が初めてでした。舞扇の持ち方、歩き方、所作などこんなにも難しいのかと思いました。
先生はお稽古事の厳しさの中にも愛情を持って教えてくださいます。
日本人の精神性として“ものを教えて頂く”という姿勢や礼儀も同時に教えて頂きました。

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(「日本舞踊」授業 あげざらいの様子)

演技の授業も、今までは演技に対してすごい大きなものを想像していたんです。3人、4人で会話するのが演技だと思っていましたが、
今回、独り芝居というか短いストーリーが課題でした。“ひとりでお客様に伝える”ということに挑んだわけですが、声色だったり間だったりというのがどれだけ自分で練っていても、思っている以上に伝わらなかったんです。
それは自分自身のせいでしかない。自分が舞台に立つうえで自分が発する言葉の威力とは自己責任だと痛感しました。それを克服していく稽古を積み重ね、試演会ではベストを尽くせたんじゃないかなと思います。
授業では自分の出来てない所、良いところも認識できました。目線ひとつがどれだけ意味を持つのか、手を片方出しただけで、自分が今、どの人物を演じているのか不明になってしまったり、ニュートラルのときの自分というものはどこに置いておけばよいのかとか。いろんな方向から自分をみなくてはいけないというのが大変神経を使いました。常に客観視出来る自分を置いておくことの重要性を教えて頂きました。
これは歌にも通用することですよね。
これらの経験で得たものを、オペラ歌手になるために自身で生かしていきたいと思ってます。

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(「演技」試演会の様子)

Q. 新家さんにとってとても刺激的な授業が続いているようですね。お話しやお顔からワクワク感が伝わってきますし、とても活き活きとされています。以前はミュージカルをしていたというだけあって、演技試演会では劇中のダンスや、舞台空間の使い方,表情など全く初めての方より長けていらっしゃるようにお見受けしましたよ。ところで何故、新家さんはオペラへの転向を考えたのですか?

A.私は、大阪音楽大学のミュージカル科を卒業しました。大学を出てからはミュージカルに出演、ダンスの指導の仕事もしていました。かつては劇団四季さんや、東宝さんのような王道でミュージカルをやることを目標としていた時期もありました。
ミュージカルはアレンジをして自分の個性をだすというもの、歌って踊るというのが楽しくて、そうやって活動している中でオペラと出会ったんです。
広島でオペラの舞台に立ったのがきっかけでした。音楽、歌を追求していく部分が全く違うと感じました。オペラというのはまず、楽譜にかかれていることを音楽として表現する、その先に自分の個性があるという、自分の声で勝負ができる、そういうところに深く感動したのがきっかけです。
声種で役が分かれているということと、その歌手を聞きに行きたいというお客様が多くいらっしゃるというのはオペラならではと思います。ライオンキング、ウィキッドを見に行きたい、ではなくて、この歌手が歌うこのオペラが聞きたい、と思えるのは、その方の生きてきた生き様とか、一個人の声というものが大きい。そこにミュージカルとは違うものを感じ、オペラ歌手になりたいと思ったんです。

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(「演技」授業の様子)

Q.なるほど、新家さんが何故、オペラに魅力を感じたのか、良く分かりました。
では、オペラ歌手になろうと思って、何故、日本オペラ振興会オペラ歌手育成部に入りたいと思われたのですか?また、専門Ⅰコースからの入所の理由をお聞かせください。

A.説明会にきたとき、先生方の雰囲気、オペラ歌手育成部のみなさんの学ばれている姿勢というのが自分にあっていると感じました。
音大卒業でしたが、ミュージカル科出身でしたから、どこにいったら自分の足りない所を補えるかすごい悩んだ末、専門Ⅰのコースにはカリキュラムにイタリア語、ソルフェージュが入っていて、違う畑からきた人間には、そこから学べるというのが魅力で選びました。
実際、専門Ⅰコースから入ってみて、イタリア語の授業ではリブレットの細かい意味、言回しだったりまでも教えて下さり、文法に留まらず歌い手にとってとても実践的な授業を受けることが出来ました。
オペラアンサンブル授業ではオペラの現場でお仕事されている方々ばかりが講師陣ですので、リアルな現場の話が聞けるのもとても刺激的でした。自分が舞台に実際立った時のことを想像できましたし、そのために、今何が必要で何が足りてないのかが専門Ⅰコースの1年ではっきりしました。
専門Ⅱコースがはじまって間もないですが、大変忙しいカリキュラムですから、専門Ⅱコースからもし入っていたら、自分の本当にやらなくてはいけない本当の根本的な部分をおろそかにして、「読まなくては」「歌わなくては」と毎回追われてしまい、自分の声とも向き合えず、授業についていけなかったと思います。
専門Ⅰコースで先生方に発声のことも躊躇なく指摘されました。だから「ここだ!」と納得できたことがあったんです。自分の声と向き合えた昨年の一年があったから迷わず歌えていると思ってます。この一年で楽譜の読み方とか、どこに着眼点をもたなければいけないのか明確にわかるようになりました。教本のVaccajやコンコーネを課題として行われるソルフェージュの授業もこんな単純作業を?と思うようなことも沢山時間をかけて一個一個、一人ひとり、確実にはっきり理解し、出来るまで妥協せず指導してくださるのです。とても丁寧で内容の濃い授業でした。
また、地方からでてきた私には時間的に余裕がある専門Ⅰコースで助かりました。バイトを見つける時間も必要でしたし、生活リズムを整えながら授業に通えて本当に良かったです。専門Ⅱコースからはいってたら、早い時期に日舞、演技、オペラ史など次々と入ってくるので上京したばかりでは勉強する体制ができなかったと思います。
説明会でカリキュラム内容を詳しく聞いていたので、その生活イメージをつかむことが出来ました。
昨年一年間は専門Ⅰコースで自分の声と向き合い、自分のペースでゆっくり勉強ができ、そして生活も環境も整えることが出来たことで今年度専門Ⅱコースにスムーズに進むことが出来ました。

Q. 生活環境が変わるだけでも大変なことですものね。専門Ⅰコースから学ばれて、時間的にも心にもゆとりがあったことが、無事に専門Ⅱコースへ進級出来た要因でもあったのですね。現在の専門Ⅱ夜コースのオペラアンサンブル授業はいかがですか?

A.専門Ⅱ夜コースは先生方が熱い指導で、自分の劣っているところを洗いざらいピックアップしてくれます。声に留まらず、人間的にも弱いところにまで!
専門Ⅰも大変でしたが、もっと緻密に自分のなかで確実に実力をつけて行かなければいけない緊張感があります。次の授業に前回の授業で指摘されたことを自分なりに出来る様にして持っていかなければなりません。心も体もいっぱいいっぱいではあるのですが、とても充実してる毎日です。クラスメイトにはいろんな音楽大学や地方からも来ている方々がいるのですごくいい刺激を受けています。

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(「オペラアンサンブル」授業の様子)

Q. 新家さんは夜コースに通われてますが、基幹授業以外のタイムスケジュールはどのように過ごされていますか?授業だけでも大変と思いますが、アルバイトもされているのですか?

A.はい、地方から出てきているので、アルバイトはせざるを得ないのが本当のところです。でもアルバイトは授業がない日に入れる様にしてます。
午前中に自宅での発声、レッスン、譜読みに時間を割き、提携の音大図書館も利用したりして資料をみる時間に費やしてます。午後からは基本的にアルバイトを入れてます。だいたい週3、4日程度の勤務です。イレギュラーな日時で授業が入る場合もあるのでそれに対応できる仕事です。南青山にある有名なジャズ演奏の聴けるレストランがありまして、そこのフロントスタッフのアルバイトをやってるのですが、超一流の国内外のアーティストが出演するので、本物の音楽に触れられるのがいいところです。アルバイト仲間は音楽をやってる人が多いので、自分のステージや本番がある場合などに理解があり、融通が利きます。バイトの時間でも、お金を稼ぐだけではなく、音楽の学びがある環境に身を置きたいと思っていてそれが、叶えられています。ジャズの有名な人たちのトリオを聴くと、ほんとセッコ・レチタティーヴォみたいなんです。今、この瞬間にしかない掛け合いがお互いの気配り、目配り、テンションで決まるんです。生の音楽、ライブは、オペラと共通してると感じます。

Q.育成部授業の他でも音楽が学べる環境に身を置けて充実した毎日を過ごされている様子ですね。これからオペラ歌手育成部に入所してみたいと思われている方々へ一言お願いします。

A.自分が学びたいと思うほど、それに応えて下さる先生方ばかり。逆に自分がこれでいいやと思ったらそれ以上は得られません。
育成部講師の方々は自分の気持ちややる気にあった指導をして下さっていると思います。
自分の学びたいという気持ちがあれば絶対にいい場所だと思います。
私はオペラ歌手にとって必要なものを学べるところだと確信してます。

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Q.新家さんのこれからの展望をお聞かせください。

A.無事に、育成部を修了したら、イタリアに留学したいです!
昨年から入所して、1年少ししか経っていませんが、本物を教えて下さる先生方の話を聞いていたら、その場所にいって音楽を勉強したいという気持ちがどんどん膨らんでいってます。
時期とかわからないですけど早いうちに現場の空気を感じ、いってみたい劇場もあります。これが近々の目標。その先には絶対に藤原歌劇団でセンターをとる歌手になることが目標です。なります!!!


とても頼もしい言葉を聞かせて頂き、ありがとうございました。
今後のご活躍を期待しています。

平成30年度の募集要項は完成し次第ホームページ上に掲載致します。
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