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【新人育成オペラアンサンブル公演】「Le Pescatrici 漁獲りの娘たち」演出 恵川智美先生へのインタビュー

オペラ歌手育成
第42期新人育成オペラアンサンブル公演開幕まであと3週間!。
今回は3月19日(日)公演 「Le Pescatirici 漁獲りの娘たち」の演出 恵川智美先生へのインタビューをお届け致します。

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全席指定 2,500円/後日配信 3,000円
https://teket.jp/2148/16561

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――今回の演目「漁獲りの娘たち」を選ばれた理由や狙いを教えてください
クラスの全員にピッタリな役がある作品は、そうそう見つかりません。そこで、バロック~古典派のオペラであれば各役の比重がだいたい一緒で全員にアリアがあるし、その人の声部に合わせて多少音の変更をしたりして、研究生一人ひとりの良いところが魅せられるのではないかと思い選びました。

――「漁獲りの娘たち」は日本初演の演目で、ハイドンのオペラ自体あまり日本では馴染みが薄いと思います
ハイドン自身は、この「漁獲りの娘たち」が自分の中でも最高レベルの作品と言っていたそうです。珍しい作品ですがハイドンらしく、聴けば聴くほど耳にとても心地よい音楽だと思います。
また、モーツァルトがハイドンを作曲のお手本にしていたというのはよく知られた話で、モーツァルトの作品へと繋がっていく音楽の要素も感じられます。
海外ではようやく何年か前からときおり上演されるようになってきた、忘れられていた、あるいは埋もれていた名作といえるでしょう。
そしてお話の内容としてはとても面白くてバカバカしいものですね。作曲当時の客は、これを観ながら自分たちと登場人物を重ねて『そうだそうだ』と言ってみたり、文句を言ってみたり。当時の人たちにはドンピシャだった面白さが、今の人たちにはよく分からないというのもこの作品が上演されない理由かもしれません。

――作中の『言葉』という側面ではいかがでしょうか
辞書に載っていないような凄い意味の言葉ばかりなので、ディクションの髙橋和恵先生に調べて頂いて、今の日本で言うとどういうニュアンスなのかと言うのを、皆で話し合ったりしながら作っています。
今の時代では使われなくなった、言うのをはばかられるような言葉が作中に散りばめられています。日本語字幕では伏せ字にしようかと…(笑)

――テノールの役に研究生の女性たちを当てた狙いはありますでしょうか
作曲当時の時代には慣例的にテノールの役を女性が演じる場合もありましたので、今回の公演でもこれが可能だと思いキャスティングしました。そして、自分からかけ離れた役を演じるということはとても勉強になると思うんです。また女性役に関しても、性格が自分とは全然違うので本人たちは苦労している様子です。
自分自身と全然違った役を演じるためには、何かを自分の中で大きく『チェンジ』しなければなりません。
その試みとして、この公演が彼女たちにとって良いきっかけになれば良いなと思っています。

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――今回の出演者にどうなってほしいか、また期待したいことを教えてください
もちろん歌手ですから自分の声をどんどん磨いてほしいんですが、苦手な所も含めて、自分の歌に自信を持って歌えるようにして欲しいですね。そのために、単に良い声になりたいということだけでなくて、自分はこういう表現がしたいからこの音を出したいんだとか、こういうドラマを作りたいからこう歌いたいという目標を見定められる歌手になって欲しいです。
また声を使ってこういう表現が出来るじゃないか、とかこの言葉はこういう意味に取っても良いですよね、といった風に、自分で舞台にいろいろなものを持ち込める歌手であって欲しいと思います。

――お客様へ向けて一言お願いします
是非楽しみにいらして下さい。何か素晴らしい作品を観て感動すると言うよりは、こんな時代ですのでアハハと笑って楽しんで、出演者の奮闘ぶりに拍手を送って頂けると嬉しいです。

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恵川 智美 Tomomi Egawa
68/71黒色テント(現黒テント)での演劇活動をへて、活動の中心をオペラへ移す。文化庁芸術家在外研修員として95年より渡伊。
『フィガロの結婚』『カルメン』などスタンダード作品から、『ザザ』(新国立劇場小劇場シリーズ)、『花言葉』他の日本初演、ドニゼッティ等の小作品まで幅広く手がけ、明快な解釈と観客に受け入れやすい今日的舞台づくりに定評がある。2006年新国立劇場委嘱作品『愛怨』(瀬戸内寂聴台本、三木稔作曲)を演出。オペラプロデュースグループ「labo opera絨毯座」を主宰し、第2回公演『偽のアルレッキーノ/カンパネッロ』でサントリー芸術財団佐治敬三賞受賞。
近年の主な演出作品として、東京文化会館オペラBOX『魔笛』、愛知県芸術劇場+ナヤ・コレクティブ『4音オペラ』(サントリー芸術財団佐治敬三賞)、labo opera絨毯座『マハゴニー市の興亡』、名古屋市文化振興事業団『伯爵令嬢マリツァ』など。仙台オペラ協会では、『蝶々夫人』、『ラ・ボエーム』、『椿姫』を演出。日本オペラ振興会オペラ歌手育成部講師。

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