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舞台裏レポート、特別企画:小田島久恵さんによる稽古場取材!!(後半)

カプレーティ家とモンテッキ家

本日も昨日から引き続きまして特別企画、音楽ライター、小田島久恵さんによる稽古場取材のレポートの後半です。観どころ、聴きどころがたっぷり紹介されています!

 通し稽古の段階で声楽的な完成度はかなり高いと思われたが、度肝を抜かれたのはジュリエッタ役の光岡暁恵さんが、この役に完璧な準備をして臨んでいたことで、ベッリーニ特有の細かい装飾音もひとつ残らず正確に歌いきり、素晴らしい和声感を保ちながら透明感のある声を聴かせた。祈りの中でロメオへの愛を訴える「ああ幾度か」では、思わず拍手が沸き起こる。一幕の終盤のロメオとの長い二重唱では、鳥木&光岡のスーパーデュエットに息を呑んだ。驚くほどパーフェクトにシンクロしていたので何か秘訣があるのかと鳥木さんにお聞きしたところ「とにかく相性がいい」のだそう。

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 ベッリーニのオペラは、グノーのフランス語のオペラやプロコフィエフのバレエ音楽と異なる部分が多く、登場人物も独特だが、一番ユニークなのは、ジュリエッタの婚約者テバルドが、ただの邪魔者ではなく奥行きのある人物として描かれる点だ。松本重孝さんの演出では、テバルドもまたロメオのように闘争の終わりと平和を望む清らかな若者であるように見える。テノールの所谷さんが、愛情深い美声を聴かせた。

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 昏睡状態のジュリエッタを見てロメオが自死し、覚醒したジュリエッタが後を追うシーンはシェイクスピアと同じで、恋人たちの悲嘆の歌は胸かきむしられるような痛みに溢れていた。夭折の作曲家ベッリーニは、このオペラに何を託したのか…しばし、遥かなる想いにとらわれる。三時間にわたって行われた稽古は本番さながらの真剣さで、指揮の山下一史さんの音楽作りに、この作品への首尾一貫した理念を感じた。総監督の折江忠道さんが休憩のたびに歌手たちに意義深いアドバイスを与えていたのも印象的で、本番に向けて大勢の芸術家たちの「本気」が、観客のいない稽古場に集中しているのを肌で感じずにはいられなかった。
(文:小田島久恵(音楽ライター))

今回の特別企画、稽古場取材レポートはいかがでしたでしょうか?今後も様々な角度から舞台裏の様子をお伝えしていきたいと思います!
そして、藤原歌劇団公演「カプレ―ティ家とモンテッキ家」、いよいよ今週末の開催となります。小田島さんの取材から更に10日が経過し、舞台も仕上げの段階です。皆さま、是非、劇場でご覧ください!

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