—本公演にかける想いを教えてください!
『私にとって、どの歌手であってもそうである様に、マリエッラ・デヴィーアの傍らで歌えることが光栄なのは当然です。
今日、もっとも偉大なベルカント歌手なのですから!
彼女とは、既に一緒にナポリ・サンカルロ劇場で「ノルマ」に出演しましたし、その他にもドニゼッティの「マリア・ストゥアルダ」「アンナ・ボレーナ」等で共演しました。
その諭しのごとき技巧と音楽性、プロ意識の高さに加えて、人生観にまで私は共演の度に新たな驚きをおぼえるのです。
と言うのも、その完璧さへの飽くなき追究から、アーティストの生き方とはどの様なものであるべきかを、彼女は私たちに教えてくれるのです。
それは常に自分自身との戦いであり、自らの芸術の道に全てを捧げる姿なのです。
彼女が日本でオペラの舞台に立つ機会がこれで最後だと思うと、この… “寂しさ”を少しばかり分かち合う気持ちにさせられます。
あれほど見事な声の状態にも関わらず、マリエッラがキャリアを終えると決心できるなんてあり得ないように思えるからです!
私自身が彼女の傍でアダルジーザを歌う以上に感動があると思いますし、このまたとない機会を下さった藤原歌劇団に感謝しています。』
—ポルヴェレッリさんの注目ポイントはどこですか?
『「ノルマ」は、ソプラノなら誰でもが少なからず不安をおぼえる役です。
この役の難しさは、上から下まで幅広い音域を持ち、完璧な超絶技巧と、流麗な歌唱や卓越した表現力までも求められている点です。
ご存知の通り、マリエッラ・デヴィーアはこういった点すべてを完璧にこなす歌手です。
要するに、これほど高水準な「ノルマ」の演奏をし続けることが、難しいのです!
ベッリーニは、鏡を挟んで向かい合っているように二人の女を思い描きました。
アダルジーザは言わば若き日のノルマであり、この偉大な巫女を愛した男に不運にも誘惑される運命にあるわけです。
彼女たちが互いに補い合う関係であることは、とりわけ二重唱の中で明瞭となっています。
歌詞は違えど、二人には同じ旋律が与えられているのです。
アダルジーザ役は、メッゾ・ソプラノだけでなくソプラノが歌うこともあります。
声域が近いこの両役の歌声は同じ様な音域を中心に動き、二重唱の際に完璧に溶け込み合います。
メッゾ・ソプラノである私にとって、このアダルジーザという役はとてもやりがいに満ち、同時に大きな挑戦なのです!』
今回藤原初登場のラウラ・ポルヴェレッリさん。
既にデヴィーアさんとは何度か共演されているので、息はぴったり!
ポルヴェレッリさんは普段から素敵な出で立ちで、ノルマとポッリオーネに挟まれ苦悩する純粋な巫女アダルジーザを熱演している姿には引き込まれます…!
いよいよ今週末に迫った共同制作公演「ノルマ」をお楽しみに☆