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【キャストコメントvol.8】演出家のダヴィデ・ガラッティーニ・ライモンディ氏からのメッセージ★

ファウスト

藤原歌劇団が創立90周年を迎える2024年の幕開けにお届けするのは、29年振りに上演するC.グノーが作曲したグランド・オペラ「ファウスト」、合唱・バレエを含む豪華プロダクションを新制作で東京・愛知のお客様へお届けします🕊🎵

【東京公演】
2024年1月27日(土)、28日(日) 14:00開演/13:00開場 東京文化会館 大ホール

【愛知公演】
2024年2月3日(土) 14:00開演/13:00開場 日本特殊陶業市民会館 ビレッジホール

キャストコメント第8弾は、演出家、ダヴィデ・ガラッティーニ・ライモンディ氏からのメッセージをご紹介します✨

Q オペラ「ファウスト」を手がける想い

当初、「ファウスト」に着手するにあたり、少し戸惑いがありました。しかししばらくすると、ちょうどメフィストフェレスが蛇のごとくファウストの人生に忍び込んだように、この楽曲も私の心に入ってきだしたのです。その時から、この曲を聴けば聴くほど好きになってゆき、いろいろと場面や出来事を想い描けば描くほど、「ファウスト」が重要な作品であると気づかされました。私は、単に美しいだけでなく、まぎれもなく強烈で比類なき作品を前にしていたのです。
私の理解が及ぶ作品であり、今回初めて手掛けますが、既に二回目をやりたいという気持ちでいます。こういう思いは、演出家にとって大切な事です。なぜなら、一つの旅が始まったことに気づき、その旅を通じて、毎回この作品の異なる側面を知ることとなるのですから。

Q 演出家から見る「ファウスト」とは

グノーのオペラ「ファウスト」は、演出家にとって非常に魅力的で、私のように想像力や独創性が常に仕事や演出の創り方に大きく影響している演出家の心をとらえます。
この話で私が最も魅了される側面は、まちがいなくメフィストフェレスでして、彼は悪魔であり、誰かの人生に忍び入る暗黒面を我が物とし、その心を惑わそうとします。これは非常に興味深い側面です。というのも、結局私たちが語っているのは現実の話ではなく、言わば “作り話” であって、空想の世界に紐づけられた物語です。ゆえに私たちは、より自由な表現チャンスや、気兼ねなく想像力や独創性を演出法に駆使する機会も得られるのですが、このことは私にとってとても重要だと思うのです。なぜなら、私には自分の創造力を解き放つ必要があるからで、場面設定だけでなく、舞台美術や登場人物の動きに至るまで、絵空事でもあり得ながら現実の世界に落し込まれた物語に、私たちは延々と取り組んだのです。
衣裳については、「ファウスト」の舞台であった時代を忠実に意図したので、あたかも現代の衣類で舞台を現代としているかのようで、極めて重要なのは、ありふれた日常の中にファンタジー的要素が入り込んでくる事です。そこに加わるが悪魔です。その姿がでっち上げとは言わずとも理想化されたものではあって、ちょうどユニコーンやペガサスの存在が実際には普段目にすることのない神話上の姿であるようなものですが、ここでは他の人々とほぼ同じような人間の姿をしています。そして、その魔力、悪意、邪悪さにより、主人公たちの人生に入り込もうとします。ファウストを利用してマルグリートの純潔を奪おうと考え、目的を果たすためにはファウストをどう操ろうが手段は選びません。しかし、結局この試みは失敗に終わります。私のイメージでは、最終的にメフィストフェレスが敗北する一方、マルグリートはともかく赦しを得るのです。

Q 今回の演出の見どころを教えてください!

観衆が特に傾注すべきポイントを明確にすることはできません。というのも、本作品の美しさは作品全体からくる完成度の高さにあるからです…

第一幕はほとんど冬のように思え、第二幕は夏であり、第三幕は秋に、そして第四幕では壮大なドラマの瞬間を迎えます。オペラ「ファウスト」の素晴らしさは、あらゆる瞬間を体験できることです。それは、暗闇に包まれた瞬間であり、時に逢引きの瞬間であり、また第二幕のように合唱が命の活力に酔って陽気で幸福感に満ちた大規模な開放の瞬間でもあります。
一方では冬に、他方では夏に象徴される時を目の当たりにし、私たちには一年という時を過ごし、四季を体感する美しさがあるのです。
第三幕となる春が重要なのは、ファウストとマルグリートの間に愛が芽生える瞬間だからです。そして秋が、投獄の秋が訪れると、マルグリートは忘れ去られて見捨てられ、静寂が彼女に重くのしかかります。観客にはこれらすべての瞬間を味わっていただく必要があります。
おそらく、本作品を通じて、グノーはまさに人生におけるあらゆる面を私たちに見せたいのでしょう。私たちには、孤独の時もあれば仲間と酔いしれる時もあり、また情愛を捧げる時もあれば憎しみをぶつける時もあるのですから。

グノーの「ファウスト」では、こういった人生における時節すべてを経験できるのだと強く感じます。間のすべてを享受し、合唱の場面に興じるのは素敵なことです。同様に、終幕大詰めにてマルグリートが実は犠牲者なのだと誰もが気づき、彼女が周り全てから赦しを受ける瞬間もまた、心動かされないままではいられないのですから。

演出家から見る「ファウスト」の魅力、そして全幕を通して様々な人間の感情模様が見える演出はとても楽しみですね。
稽古映像も含まれたインタビュー動画もお楽しみください♪

チケット情報

東京公演      愛知公演

S席 17,000円   14,000円

A席 14,000円   11,000円

B席 11,000円   8,000円

C席 8,000円    4,000円

D席  6,000円

E席 3,000円

特設サイトはこちら

東京公演

愛知公演

指揮:阿部加奈子
演出:ダヴィデ ガラッティーニ ライモンディ 

【1/27 & 2/3】
ファウスト      村上 敏明
メフィストフェレス  アレッシオ カッチャマーニ
マルグリート     砂川 涼子
ヴァランタン     岡 昭宏
シーベル       向野 由美子
ワグネル       大槻 聡之介
マルト        山川 真奈 

【1/28】
ファウスト      澤﨑 一了
メフィストフェレス  伊藤 貴之
マルグリート     迫田 美帆
ヴァランタン     井出 壮志朗
シーベル       但馬 由香
ワグネル       高橋 宏典
マルト        北薗 彩佳

合唱  藤原歌劇団合唱部
バレエ NNIバレエアンサンブル
管弦楽 東京フィルハーモニー交響楽団(東京)/セントラル愛知交響楽団(愛知)

【主催】公益財団法人日本オペラ振興会
【共催】愛知県芸術劇場、Niterra日本特殊業市民会館(愛知公演のみ)
【助成】公益社団法人日本演奏連盟助成文化庁文化芸術振興費補助金(舞台芸術等総合支援事業(創造団体支援))|独立行政法人日本芸術文化振興会
【都民芸術フェスティバル主催】東京都、公益財団法人東京都歴史文化財団(東京公演のみ)
【特別協賛】株式会社レイ

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