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【キャストコメントvol.12】演出家のマルコ・ガンディーニからのメッセージ★

ピーア・デ・トロメイ

誤解と和解、そして愛への忠誠
運命に翻弄された女性ピーアの、慈愛に満ちた物語

2024年11月22日(金)・23日(土祝)・24日(日)14:00 開演(13:00 開場)日生劇場にて、藤原歌劇団創立90周年記念公演 G.ドニゼッティ作曲「ピーア・デ・トロメイ」を上演します⚔️

キャストコメント第12弾は、演出家のマルコ・ガンディーニからのメッセージをご紹介します✨

Q 作品の見どころ、注目ポイントを教えてください

「ピーア・デ・トロメイ」の見どころはたくさんあります。
ドニゼッティによる非常に素晴らしい作品で、実に見事にして秀逸、美しい調べに溢れています。
他のドニゼッティ作品と同じく、数々のメロディックな調べに満ちています。「ピーア・デ・トロメイ」はドニゼッティの円熟期に作曲されており極めて巧みなスタイルの作品となっています。

興味深いのは女性像の捉え方で、中心人物となる女性ピーアは男性たちに取り巻かれています。男性の登場人物として、テノールのギーノは非常に邪悪な性格であり、また、概してバリトンという声種は卑劣な登場人物なのですが、この作品では、テノールにそういった役が与えられています。
他にも、ピーアの夫がバリトンで、ピーアの弟も登場します。これら3人に加えて、聖務者である隠者(ピエーロ)が登場します。これらの男性陣に取り囲まれた世界で、ピーアはネッロに嫁ぐことになりますが、これは敵対する2つの一族に和平をもたらすための政略結婚でした。
彼女は幸せではありませんが、夫をとても愛しています。なぜ不幸せかというと、彼女の弟が、夫ネッロの政敵となったからです。そして、この状況は対立を生むこととなり、それが悲劇の引き金となるのです。
また、このオペラには素晴らしい二重唱もあります。メッゾ・ソプラノとソプラノ、テノールとバリトンによる二重唱、そしてテノールのアリアと…そして、ピーアが歌う最後の場面は何にもまして傑出しています。そこでは妙なる調べがピークを迎え、美感は最高に研ぎ澄まされ、極限の甘美に達するのです。私は、この作品に心底惚れ込んでいます。

Q ご来場くださる皆様へメッセージをお願いします

このオペラはとても素晴らしい作品なので、ご覧になることをお勧めします。舞台装置はとても見事で、また特殊な部材で作られています。居城は、とても大きい本物の鉄パネルで作られており、中世の世界を象徴して表しています。それとコントラストを成しているのがマレンマの湿原です。
ここは、トスカーナ地方にある湿原で、ピーアが投獄される場所となります。これら2つの物象である鉄と泥土が対照的な場となり、後者は、まさにピーアが打ちひしがれて、ついには死を迎える場なのです。

今回の公演に出演する歌手陣や指揮者も実に素晴らしいです。ピーア役を歌うソプラノは、二人とも非常に美しくて優秀な歌手です。極めて見事な高音に卓越したコロラトゥーラ、何よりも感性がずば抜けています。また、このオペラは、言うなれば現代的な作品でもあります。
ピーアの物語は、何世紀にもわたって語り継がれてきています。13世紀には、イタリア文学史上最大の叙事詩であるダンテの《神曲》に、そして19世紀、20世紀には小説や戯曲、また映画にも取り上げられました。ピーアに着想を得たイタリアのロックスターのロックアルバムにまで及びます。
というのも、ピーアという人物像は、男性に抑圧される女性の象徴的な姿だからです。誰もがピーアを我がものにしようと彼女にまとわりつき、この様な誤解が引き起こされます。ピーアの夫は、事実に反して妻の不貞を信じて疑わず、彼女に死を言い渡します。
こういった女性に対する虐待は、今日、あらゆる国々にて極めて大きな問題となっていますが、このオペラの中に見いだせるのは惨劇ではなく、麗しさであり、和睦の安寧です。
最後には、ピーアが皆の心を一つに結びつけ、誰もが赦しを得るのです。邪心に満ちていたギーノは善良な男となり、ピーアの夫は、自らの過ちに気づいて赦しを乞います。
そして、彼女の弟と夫は再び手を携え合います。それは、楽土の訪れにも似て、秀麗なラストシーンなのです。

インタビューの様子は動画でもご覧いただけます📹

公演情報

指揮:飯森範親  
演出:マルコ・ガンディーニ

      11/22&24  11/23
ピーア   伊藤 晴    迫田美帆
ネッロ   井出壮志朗  森口賢二
ギーノ   藤田卓也   海道弘昭
ロドリーゴ 星 由佳子   北薗彩佳
ランベルト 龍 進一郎   大澤恒夫
ウバルド  琉子健太郎  西山広大
ピエーロ  相沢 創    別府真也
ビーチェ  黒川亜希子  三代川奈樹
牢番    濱田 翔(全日)

合唱:藤原歌劇団合唱部
管弦楽:新日本フィルハーモニー交響楽団

チケット情報

S席 15,000円
A席 12,000円
B席 9,000円
C席 6,000円
D席 4,000円 ※全日完売

藤原歌劇団創立90周年記念チケット

①帝国ホテル東京 ディナー付きペアチケット:¥90,000(S席×2枚)
 ※受付終了

②ドリンク付きペアチケット:¥33,000(S席×2枚)
 • 有料プログラム(販売価格¥1,000)2冊付き
 • サイン入り公演写真(販売価格¥500円)2枚付き
 • スパークリングワインチケット2枚付き(アルコール以外のドリンクも選択可)

③オリジナルグッズ付きチケット:¥16,000(S席×1)
 • 有料プログラム(販売価格¥1,000)1冊付き
 • サイン入り公演写真(販売価格¥500円)1枚付き
 • 日本オペラ振興会オリジナルグッズ(クリアファイル/90周年記念ステッカー)

※日本オペラ振興会チケットセンターへのお電話へお申込みの方限定特典となります。
 サイン入り公演写真は、全ての出演者のご用意はございませんので予めご了承ください。
 種類は公演当日、販売所にてご確認ください。


公演詳細はこちら⏩「ピーア・デ・トロメイ」

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