【キャストコメントvol.11】演出家の岩田達宗からのメッセージ★ vol.1

2025年2月1日(土)・2日(日) 東京文化会館、2月8日(土) 愛知県芸術劇場にて上演する、藤原歌劇団創立90周年記念公演「ファルスタッフ」🍷

藤原歌劇団創立90周年イヤーのラストを飾る演目は、悲劇作品でオペラ界を席巻した作曲家ヴェルディが、人生最後の作品として残した極上 “喜劇”を藤原歌劇団が10年ぶりに上演します！

キャストコメント第11弾は、演出家の岩田達宗からのメッセージをご紹介します✨

Q.シェイクスピアの「ウィンザーの陽気な女房たち」が原作になってるオペラ「ファルスタッフ」をどのように捉えていらっしゃいますか？

「ウィンザーの陽気な女房たち」が原作というのは少し語弊があると思うんですよね。
ふたつの要素があって、ひとつにはファルスタッフを主役に選んだということ。 だからファルスタッフを主役に選んだシェイクスピア演劇全体が原作と言うべきだろうなと思っています。
直接的にファルスタッフが登場するのは、「ヘンリー4世」の一部、二部と、「ヘンリー5世」のところです。しかし、ウィンザーの陽気な女房が一番たくさん活躍するので、「ウィンザーの陽気な女房たち」が原作という風に捉えられるんですけど、原作は強いて言うと、シェイクスピアの演劇総体です。

それともうひとつは、主人公が女性たちだということです。
ヴェルディのオペラは27本あり、1本の例外「1日だけの王様」を除いたら、女性が男性に、あるいは男性が作った社会の理不尽さによって不幸になったり、殺されたり死んだりするっていうお話なんです。しかも男性社会の理不尽さのベースにあるのは大抵復讐なんです。
そのことで女性たちが死んだり不幸になって物語をやり続けて「ウィンザーの陽気な女房たち」というのは、女性たちが男性たちに仕返しをする話なんですよね。
そして結果的にみんながハッピーになるという物語です。

だから彼が描き続けていた世界観みたいなものを、ひっくり返すという言い方もできるし、清算する。「ファルスタッフ」というオペラの中には、女たちの復讐は絶対失敗しないからっていうセリフがあるわけですよね。
女たちの復讐が失敗しないっていうのは何かというと、憎しみとか、結局その仕返しが連鎖として残っていくものはうまくいっているとは言えないわけです。 だからヴェルディが作曲した25本のオペラでは、男性たちの仕返しの社会っていうのは全然うまくいっていないんですよ。

それに対して女たちの復讐っていうのは、最後はみんなで仲良くなって、ご飯を食べて、歌を歌って、フーガで終わるのよっていうことを描いているんですよね。「ウインザーの陽気な女房たち」を選んだ理由のひとつには、そういう女性たちの仕返しの話だからという、今までの自分が女性たちを不幸にしてきた、殺してきたっていうのをちゃんと清算しようと思ったら、喜劇にしなきゃいけない。それもちゃんとイタリアの古典喜劇、伝統的なイタリア人として、あるいはヨーロッパ人として、ヨーロッパの文化財産といえる、イタリアの古典喜劇のフォーマットに合うものを探そうとしたら、シェイクスピアの喜劇の中にイタリア古典喜劇のフォーマットに収まるものって、「ウィンザーの陽気な女房たち」しかないんですよ。

このふたつが結果的に「ウィンザーの陽気な女房たち」というのが中心になって描かれてる理由だろうなって思いますね。

稽古の様子が垣間見えるインタビュー動画もぜひ、ご覧ください！

公演情報

2025年2月1日(土)・2日(日) 東京文化会館 大ホール 14:00開演（東京公演）
2025年2月8日(土) 愛知県芸術劇場 14:00開演（愛知公演）
※全日13:15より作品解説あり

指揮：時任康文
演出：岩田達宗

　　　　　　　　　2/1&2/8　　2/2
ファルスタッフ　　上江隼人　　押川浩士
フォード　　　　　岡 昭宏　　 森口賢二
フェントン　　　　中井亮一　　清水徹太郎
アリーチェ　　　　山口佳子　　石上朋美
ナンネッタ　　　　光岡暁恵　　米田七海
メグ・ページ　　　古澤真紀子　北薗彩佳
クイックリー夫人　松原広美　　佐藤みほ
カイウス　　　　　所谷直生　　及川尚志
バルドルフォ　　　井出 司　　 川崎慎一郎
ピストーラ　　　　伊藤貴之　　小野寺光

合唱：藤原歌劇団合唱部
管弦楽：東京フィルハーモニー交響楽団（東京公演）
　　　　名古屋フィルハーモニー交響楽団（愛知公演）

チケット情報

東京公演　　　　　　愛知公演
S席　18,000円　　　15,000円
A席　15,000円　　　12,000円
B席　12,000円　　　8,000円
C席　9,000円　　　 5,000円
D席　6,000円 　　　 3,000円
E席　3,000円