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CiaOpera!

CiaOpera!(チャオペラ)Vol.20 夕鶴キャスト:佐藤美枝子・中鉢聡
Vol.20 -
佐藤美枝子氏・中鉢 聡氏

迫真の歌と演技で『夕鶴』を魅せる。
佐藤氏と中鉢氏。

いい音楽を聴いたということ以上に、いい芝居を観た、という充足感をお客様に感じてほしい。そんな『夕鶴』をつくりあげるために、演出の岩田達宗氏やマエストロの園田隆一郎氏とディスカッションや稽古を重ねていきたい。特に岩田氏は、ブレスの吸い方ひとつにおいても真実味のある役づくりや演技を求める。つうと与ひょうの、美しく悲しい愛の物語の魅力を、東京、兵庫、山形、そして中鉢氏の地元秋田へ伝える。共演者が違うと作品の雰囲気も変わるので、ぜひ見比べるという楽しみ方もおすすめしたい。

今最も旬なアーティストのリアルな声や、話題の公演に関する臨場感あるエピソードなど、オペラがもっと楽しめること請け合いの情報をお届けするコーナー「CiaOpera!」。第20弾は、日本オペラ『夕鶴』に出演する佐藤美枝子氏と中鉢聡氏。2018年2月17日・18日の東京公演を皮切りに、兵庫、山形、秋田などを巡回する公演についての意気込みや、役づくり、共演者の方々について、また中鉢氏には特に地元公演への思いなどを語っていただきました。

日本オペラ。「いい音楽」以上に届けたい、「いい芝居」としての真価。

−本日は、おふたりがご出演の日本オペラ協会本公演『夕鶴』についてを中心にお話を伺っていきたいと思います。この『夕鶴』、今回は東京をはじめに、兵庫、秋田、山形と日本各地で上演されますね。作品に臨むにあたっての意気込みを、まずはお聞かせいただけますか?

佐藤 私にとって『夕鶴』の「つう」役は、自分の持っている声よりも少し重い声を要求されている、と自覚していまして。以前にもお話をいただいたことがあったのですが、そのときは「まだ自分の声には早いな」と思いお断りしたのです。そして、何年か経ってまたお声がけいただいた時期が、ちょうど歳を重ねてレパートリーも拡がってきて、中間から下の音もお客様に聴いていただけるようなものになったかなと思っていた時期と重なったので、お引き受けしました。もともと日本オペラを歌わせていただくにあたって、『夕鶴』という作品はひとつの目標でもありました。伝承、というのでしょうか、これまで“名歌手”と呼ばれる先輩方が歌い継がれてきたものを、今回このように私にお声がけくださったということに大変感謝しているとともに、私自身もしっかりと応え、次の世代に引き継いでいくべきものなのだろうと思っています。

夕鶴キャスト:佐藤美枝子・中鉢聡

—中鉢さんはいかがですか?

中鉢 『夕鶴』はいわゆるプリマドンナオペラで、観に来たお客様皆様が美しく、純粋で、不憫なつうに共感できるようにつくられているので、与ひょうも含めた男性陣が “いい声で音楽的に歌う”というような場面って、実はほとんどないんです。けれど逆に、いい声で歌ってしまうと真実味が薄れるという気がして。どのぐらい、まるでセリフをしゃべって、普通のお芝居をしているかのような感覚で舞台にいられるか、ということを大事に考えています。
オペラを観に来たつもりでいるお客様に、発声、美声、音楽などといったものというよりは、純粋にお芝居として作品に入り込んでいただきたい。そう思って、演出の岩田さんやマエストロの園田さんとも詰めています。男性陣はそんな感じです。つうは、美しい歌で魅せる場面もありますけれどね。

佐藤 でも、私も、この作品ではお芝居に重きを置くという考え方には賛同しています。つうは確かに美しい声を要求されている場面もありますが、そんなに多くありませんし、声を聴いて頂くというよりは、言葉、そして心が伝わってほしい。でもこれは、どのオペラでもそうではないかと思います。「オペラは総合芸術」でお芝居が重要だと思うからです。特に今回の『夕鶴』では、男性に関しては実際本当にずっとセリフをしゃべっているような感覚でいらっしゃるでしょうし、むしろお客様に「いい音楽を聴いた」と感じさせてしまってダメな作品なのかもしれません。

—そうなのですね!これは、出だしからかなり興味深い見解をお聞きしました。

佐藤 でも、日本オペラって結構そういう部分、ありますよね。中鉢さん、どう思いますか?

中鉢 それがなかったら成立しない、と思いますね。たとえば『ランスへの旅』とか『セビリャの理髪師』などロッシーニの作品だったら、歌のテクニックや、音楽としてのアンサンブルを聴くというような楽しみもあるけれど、日本オペラはあまりそういう部分で魅せるというものではない気がするんですよね。

夕鶴キャスト:佐藤美枝子・中鉢聡

—なるほど。日本オペラを歌う上で、イタリアオペラやドイツオペラなど欧米の作品を歌うときと比べて特に意識されていることはありますか?

中鉢 うーん、少し語弊があるかもしれませんが、たとえば日本歌曲をたくさん歌うことが、日本オペラで日本語をきちんと聴こえるように歌うことにつながる、と以前は考えていた部分がありました。今の考えは歌曲を歌うようなニュアンスのままではオペラには臨めないのと同じで、日本語を口にするからといって必ずしも歌曲イコールオペラ、とは限らないと思うんです。それにたぶん、日本語として聴き取りづらい歌い方をしている場合、イタリア語でも、ドイツ語でも、何語でも聴き取りづらい歌い方をしているはずだと思うのです。だから、日本オペラだからといって特別に何かを意識する、ということは、僕はないです。

佐藤 どこの言語でも発声は同じでなければならないという事でしょう。私たち日本人の骨格は開いていないため、ヨーロッパの人と同じように喉の奥を開ける事に始まり、ベルカント唱法を習得します。そのベルカント唱法で息の流れに乗って発語するのです。日本オペラであるから、日本語であるからと、日常、日本語をしゃべっている喉の狭い空間や口先で歌ったとしても大きなホールの隅まで声は届かないと考えています。

—では、日本オペラを歌うからといって何かを特別に意識するというよりは、歌い手としての基本を大切にしながら、どの作品であっても臨まれるのですね。貴重なお話、ありがとうございます。

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